舞台『ビニールの城』感想
芸術監督 蜷川幸雄 追悼公演 舞台『ビニールの城』@8/27夜を見てきました。
ストーリー
俺が遠くに行って、まだ、俺に会いたいと思うなら、遠くから来た女に会えと。その女は、俺たちの心のつながりを天びんにかけるような女じゃない。それは、俺と同じように、ガラクタの中から、お前に近づく女だと。お前の知らない遠くから来た女に会えと。それが何だか分からない。女にとって、どこが遠くか。ともかく、そんなことがありまして、僕は夕ちゃんを探してるんです。
8ヶ月前に倉庫に預けたきり行方がわからなくなった「遠くから来た人」である人形の「夕顔」を探す腹話術師【朝顔】(森田剛)は、とあるバーで出会ったねんねこを背中に背負う女【モモ】(宮沢りえ)に愛を告げられる。そのモモは実は朝顔と夕顔が暮らしていた四畳半のアパートの隣に住んでいた女であった。酒に酔った朝顔の口に手を入れ吐かせ介抱したり、夜食を差し入れられたこともあった。
隣人だと気づいたものの「あなたはもう結婚された身でしょう」と諭す夕顔に、「泣き声ひとつない子が、あたしの子ですか?」と返すモモ。背中のねんねこはただの人形、結婚したのも旦那の名前が「夕一(ゆういち)」だったから、旦那のことは愛しておらず、朝顔が夕顔を呼ぶように、「夕ちゃん」と呼ぶその瞬間だけを愛しているだけだ、本当に愛しているのは朝顔だとモモは言う。
モモからの愛に戸惑いつつ朝顔はモモを拒絶する。朝顔は生身の女には興味がないのだった。そこにやってきたのはモモの旦那【夕一】(荒川良々)。バーに居合わせ一部始終を聞いていた夕一の叔父【河合】(六平直政)と連れの【引田】(金守珍)にモモの事情をすべてバラされてもなお「それで、これから帰るんだよね」と言う夕一。しかし「もうあそこへは帰りません。これで縁切りにしてください」と返すモモ。「こうして、ひとさまを傷つけながらも、あんたを待っていたんです!」朝顔に迫り、こう叫ぶ。「あたしはビニールの中の女だと。あなたが封を切らずに持っていた、ビニ本の女です!」
朝顔はアパートに入った時から置いてあったビニ本を封を開けずにずっと持っていた。その中の女に愛をささやいたこともあった。隣人がまさにその女であり、壁の穴からそのようすを覗いていたことも知らずに。
街頭で、夕一と出会う朝顔。確かにビニ本の中の女に愛してるとは言ったが、隣人のあの人に対してではない、生身が嫌だから夕ちゃんとばかりつきあってきたと弁明する朝顔に同一人物なのだと詰め寄る夕一。モモはビニールの城に帰ったという。「ビニールの城はどこにあるのでしょうか?」「それを僕にお聞きになるのは、僕が、あなたに生活をめちゃくちゃにされた夕一だからか、それとも、遠いところからきた人と呼ぶ、人形の夕一だからなのか、どっちでしょう?」「!?」
ホクロをとり、かつらを半分だけはがし半分だけの坊主頭を見せた夕一。「どうして人形の夕一になろうとするんですか?!」と動揺する朝顔に「元々、そうです。」と答える夕一。本当に夕ちゃんなのかと確かめるために今まで話した内容について聞く朝顔とそれに答える夕一。夕ちゃんと会話した哲学のことから女のことまでワーワーと、まるでかつての朝顔と夕顔のように、「夕ちゃん」「朝やん」と呼び名がら語らう2人。白熱して寝転んだところで朝顔が告げる。「もういいでしょう、夕一さん」。朝顔は夕一が気違いな自分なら騙せると夕顔のふりをしていることがわかっていた。その場を去っていく朝顔を見送りながら夕一はつぶやく。「そうじゃないんです。朝顔さん。僕はもう半分、夕ちゃんなんです。夕ちゃんにならなければ、モモという妻に喰い込んでゆくことができないんですから。」
話を聞いていた河合と引田は夕一の代わりに一矢報いるために正方形の水槽に手錠のかけられた一体の人形を沈める。朝顔がこれを見逃す訳ないだろうと思い。そこに現れたのはビニールの城(=ビニ本の撮影所)に向かうモモとその妹分。モモは妹にその人形を水中から拾わせ、「昼顔」と名付ける。私はビニールの城にいると言づてを昼顔に託し場を去るモモ。
その後現れた朝顔は昼顔を見つけるが、河合の手によりまた昼顔は水中に沈められてしまう。河合は朝顔に、自分に手錠をかけた状態でこの人形を救い出せと恐怖の水中脱出をもちかける。朝顔はあのバーで「君ら(人形)が水に没す時、この僕も水に沈もう。」と豪語していたからだ。これを受けた朝顔は水槽のふちに立ち人形の民衆を呼ぶ。「遠くから来た人よ!きみらははるか物体の彼方から、なにゆえここに来た!君らの固くつぐむその本当の目的は何なんだ。おもちゃか、余興か!なぐさみ物か!ちがう!きみらは、人間の目にまだその招待を現してはいない!」「いつも黙っている君たち。この欺瞞の町がいつかたいらかに沈まる時、きみらは初めて何か言うだろう。しかし言っとくが、この偽りの町が正直になることも、新生に目覚める時も、これから断じてこないだろう。ならば!きみたちはどうして現れた!なぜ、遠くからやってきたんだ!言えっ!」「答えは、僕が死んでから来るだろう。そして、僕が死ぬほどの苦しみに耐えたら、少しは聞けるかもしれない。それでも、もし聞くことが出来なかったら、遠くから来た人よ。たのむ。」「デンキブラン*1を一杯、つくってくれ。」こう叫び朝顔は、水槽の中に沈み昼顔の手錠を解くのであった。
朝顔が目を覚ました場所はいつものバー。昼顔と名付け言づてをしたのはモモであると知ると朝顔は「あなたの罠にハマった」とため息をつく。ビニールの衝立越しにモモは再び愛を訴え、ビニールの中のわたしをつかまえてと言うが、朝顔はかたくなに、モモを受け入れなかった。「ビニール越しが好きならば、このビニールさわってこう言います。この封印、また開けられなかったよ、遠くから来た人と。」「いやだよ、朝ちゃん。苦しいんだよお。」ビニールの中は苦しいというモモと、それでもビニールの封を切れない朝顔。この2人は同じ想いになることはなかった。「快く開けて迎えてくれなければ、自分で開けて出ますから。」空気銃を取り出してモモは言う。「あなたが嫌いです。」放った空気の弾丸は、ビニールの衝立を破り朝顔の手にあるデンキブランの入ったグラスを割った。「背中のねんねこが、夕ちゃんですから」最後にそう告げモモは撮影に向かい、朝顔は1人残されたのであった。
霧のたちこめる町で朝顔は再び夕一と出会う。夕一はもう自分は夕ちゃんになってしまったと言う。モモに愛される朝顔が求める夕ちゃんについて考えに考え、ついに自分と人形が混同してしまったのだ。夕一は問う。女と人形の違いとは何か。遠いものを求めた朝顔の心は何なのか。朝顔は人格のないビニ本の女に声をかけた。そして沈黙の人形にも声をかけた。そのように、朝顔は1つのまな板に物と女を並べたのだと。そして夕顔は1つの真実を告げる。「この人形をとりに来なかった8ヶ月、たびたび、この町に通ったモモが、あなたの声をまねて、倉庫の奥にころがった夕ちゃんに、もうすぐ来るよ、きっと来ると声をかけたのを。一度、倉庫を整理すると言った主人に、モモは、あなたに恨まれることを承知で、あの夕ちゃんをおぶりました!」モモは倉庫から夕ちゃんが処分されるのを防ぐためにねんねことして夕顔を背負ったのであった。「行きなさい!あなたは、その人形に再会するでしょう。遠いところからきた人と会うでしょう。しかし、遠いところからきた女を失いましょう。あなたがつかむものは、そういうものです。行くんです。ただこちらからはゆけません。霧の晴れたところから行くんです。」そう言って夕一は、霧の中へと帰っていく。誰もとりにこない夕ちゃんとして。
バーに朝顔が入ると、モモはねんねこを下し、夕顔を朝顔に渡す。朝顔はモモに礼を言い、またもう一度、アパートに戻ろうという。あなたの夜食を待って芸の稽古をすると。モモは喜ぶが、しかし一度空気銃を向け決別した2人。モモは朝顔を拒絶する。モモのいる場所はビニールの城の塔の上だった。水の中へと沈んでいくモモ。朝顔はモモの手を掴むことはできなかった。水の中からそびえたつ高いビニール城。城の中を浮くモモを、朝顔はただ呆然と眺めることしかできなかった。「君に会えただけでもよかったんだよね」そう問う朝顔に、夕顔はゆっくりと口を開くだけであった。
感想
劇場に入るとステージ上で迎えていたのは何体もの人形とかすかに響く風鈴の音で、一歩踏み入れた瞬間から唐十郎の、金守珍の、蜷川幸雄の世界に巻き込まれていました。
私は蜷川演出の作品を他に見たことがないので、あの空間に蜷川幸雄が息吹いていたのかはわからないです。ただ金守珍さんはインタビューで「蜷川さんの死によって演出を引き継ぐことになったため、役は降りるつもりだった。ところが宮沢りえさんが、舞台にも立つべきだと背中を押してくれた。じゃあ全体は誰が見るのかと聞くと、「蜷川さんが見てくれている」と。」と語っていました。それならきっと客席に、蜷川さんがいたのだろうと。蜷川さんが関わった最後の作品を観ることができて幸せだったと思います。
途中、「なんてジメジメした陽気だろ」と腹話術師と3体の人形が繰り返し言う場面があったのですが、その腹話術師がなんと蜷川さんそっくりでした。幽霊として存在しているのかと思うほど。あれは一体どのような意図だったのでしょう。蜷川さんが息吹いているということだったのでしょうか。
はじめ、高く積み上げられた人形倉庫の棚と棚をはしごを使って森田剛さんが移動していくのですが、さすがの軽々とした身のこなしでした。軽々と、しかしどこか焦ってるような身体の使い方は朝顔そのものだと思います。
モモが新聞紙から顔をだすとき、白いライトがあたっておそるおそる顔をのぞかせるその姿が神々しく神秘的で魅了されました。宮沢りえさん、43!?凛とした鈴のような音色の声、はつらつとした立ち振る舞い、そしてビニールの城の中にいる妖艶な姿…。この舞台、宮沢りえさんが中心に蠢いていたと感じています。圧倒的でした。
荒川良々さん演じる夕一(あらすじ読んでいたときはずっと「たー」と読んでしまっていた…「ゆういち」です…)、コミカルなイメージがあったのですが、今回はコミカルな場面もありましたが、モモを深く愛し、愛故に人形と自分を混同してしまい、やがて誰にも迎えにきてもらえないまま去っていく、悲しい悲しい人でした。夕一に対する救いが一切無いのが辛い。あのにぎやかな叔父さんである河合と引田と一緒に、にぎやかに人間らしく生きていってほしいと願うばかりです。
セットも圧巻でした。はじめの倉庫の人形棚から、ネットニュースでよくとりあげられていたネオン街、ひょうたん池のあるバーにビニ本撮影所の鏡、ラストに水の中から浮き上がってくる高いビニールの城……。
私は特にビニ本撮影所の鏡が心に残っています。朝顔を寝かせていたベッドにビニールの衝立、そしてその後ろはすべて鏡になっています。その鏡には朝顔とモモの後ろ姿まで映っています。J列の私から鏡に映る客席が判別できるほど。
よって後ろにいるモモを衝立ごしに見る朝顔という構図が多かったのですが、鏡に映る朝顔の表情まで見れたので良かったです。また舞台本筋とは離れますが、後ろ姿から客席を向く役者を見るということに涙がでてきました。板の上の人達は、この景色を見ているのだなぁと。
考察
考察という名のストーリーについての感想(笑)
悲しかったです。朝顔が。
何人もの人が朝顔に前を向かせようとしました。モモはビニールの中ではない生身の自分を愛してほしいと言いました。3人の腹話術師は、夕顔の声は自分の声なんだと言いました。夕一は、夕顔は「女と人形の違い」を確かめさせるためにいなくなったと言います。
生身を愛せない朝顔は、それを最後の最後まで気づけなかった。
朝顔が愛せないのは生身のものであり、それはつまり魂を持たないものと思います。魂の持たない人形の夕ちゃんとばかり向き合っていました。魂の持たないビニ本の中の女を愛しました。魂のあるものの、獣臭さが許せませんでした。だからビニ本の中の女がビニールの袋を破って、つかまえてと手を延ばす夢を見ると、ビニ本に向かって「どっか、行け」と拒絶するのです。
私の想像ですが、朝顔が腹話術師になる前は、人間にひどい扱いを受けていたのかもしれません。 男に罵倒され、女に蔑まれ。そうでなくとも水槽のふちに立ち民衆に叫んだ言葉から、人間に対する不信感は強くあるようです。
ビニ本の中の女しか愛せない、人形と向き合ってしかいない朝顔を見かねた夕ちゃんは、「遠くから来た女に会え」と言い離れていきます。
夕ちゃんの声というのは、もちろん朝顔の腹の中の声です。
夕ちゃんの話したという言葉はすべて朝顔のものです。魂のない人形が勝手に喋ることはありません。ファンタジーやメルヘンじゃあないんですから。
夕顔と離れるのは、朝顔が本心で望んだことです。夕顔と離れて女を探すのは、朝顔自身が望んだことです。だって実際に朝顔は8ヶ月も経ってから夕顔を探し始めるのですから。
8ヶ月の間、朝顔は夕ちゃんを探していたのではありません。8ヶ月経ってから初めて預けた倉庫に迎えに行ったのです。8ヶ月前、突然アパートを出ていった朝顔を待ち、モモは夕ちゃんを預かっていました。
それなのに朝顔は、最後の最後まで夕ちゃんの声が自分の声だと気づけなかった。臆病者で頭の固い朝顔は、結局自分の本心通りに行動する事はできなかったのです。
ようやく最後に生身の女を受け入れようと思った時にはもう遅かった。モモと一緒になる事はできなかった。きっと朝顔はまた夕ちゃんと共に四畳半のアパートに戻るでしょう。しかしもうその部屋にはビ二本はありません。もうビ二本を眺めることすらできません。生身のモモと向き合い、気持ちを動かしてしまった朝顔はもう今までと同じようには生きていけません。
そして朝顔と夕顔もまた、元には戻れません。あれだけ探し求めた夕ちゃんは、朝顔の手に戻ってきても、ユウガオの花を口の中から咲かせるだけでした。私は観劇中ずっと夕ちゃんが喋るのを待ち望んでいたので、喋らなかった夕ちゃんを見て愕然としました。朝顔は、人形を愛するがあまり生身の人間の優しさに気づけない、気づいた時にはもう遅く、女も人形もどちらも失ってしまった。「どちらも」を選ぶことが出来ない、悲しい男でした。
モモは少女漫画のようになりたくてつけまつげをたくさんつけたり、サングラスをつけないと気づいてくれなかった朝顔にへこんだり、落ち込んでる時にお客さんにグラスを投げて渡したりとお転婆でクルクルと表情を変える可愛らしい少女のようでありながら、ビニールの中での憂いを帯びた瞳、色気の香る身姿と全く違う2つの顔を持ちます。
桃の花言葉は「わたしはあなたのとりこ」。モモは朝顔のとりこでした。しかし朝顔はモモの愛を受け入れられない。朝顔は自分をビニールの城から連れていってはくれない。だからモモは決別を選び、自らビニールの外にでることを決めました。空気銃をもって。
モモの放った空気銃はビニールの衝突を破り、朝顔の持つグラスを割ります。ビニールを貫いたのです。それはすなわち、モモがビニールから出ていったということ。この破いたビニールは、モモにまとわりついていたビニールではありません。破れたのは、朝顔とモモの間にあったビニール。あの衝立はビニールの中のものしか愛せない朝顔のためにあったもので、モモはそれを破いた。
朝顔はビニールが破られたことにより、ビニール越しじゃないモモを見れるようになりました。初めて、ビニールの中ではないモモと向き合い、だからこそ夕一にモモの献身的な愛を聞かされた時、今まで頑なだった姿勢を崩しモモの愛を受け入れる気持ちになったのです。
しかしモモが空気銃を放ったのは、朝顔と友になるためではなく、朝顔から決別するため。モモはビニールの城からは出られません。朝顔から望んでいた言葉を聞けても、もう塔の上にいる覚悟を決めてしまっていた。モモはやはり強い女です。
夕一はそんなモモの一番の理解者であったと思います。モモが自分の名前しか愛していないことも、モモが愛しているのは気違いの腹話術師だということを知っても、それでもなおモモに深い愛を捧げます。しかし夕一は聖人では無いので、無償の愛というわけにはいかなかった。モモの中に自分の居場所が欲しいと願ってしまった。願うあまりに、ついに人形と自分を混同させてしまうほどになってしまった。皮肉にも人形と混同させてしまったが故、夕顔の気持ちがわかり朝顔の背中を押すことになってしまいますが。
誰も迎えにこない夕ちゃんとして、最後は霧の中に消えてしまいます。夕一は大きな大きな愛を捧げ、すべて捧げて終いには自分が空っぽの人形になってしまった。
モモは愛に飢えていました。だからビ二本の中の自分を愛する朝顔を求めます。愛に植えていたのなら、深い愛を捧げる夕一を受け入れればよかったのに、それでも朝顔を求めた。
しかし朝顔は夕顔への、人形への愛ですべて自己完結してしまっていました。周りの愛を受け入れるのも、捧げるのも余裕がなかった。1度は離れて女を探してみたけれど、やはり生身とは向き合えませんでした。
3人とも自己が強く、自分が求めるものを強く願いすぎるがゆえ、他者の導きを受け入れられない。みんな強いが、それ故に脆い。きっとこれは、そういう物語だったのだと思います。
霧の中でも、ビニールをかぶっていけば雨にかわる。なんてジメジメした陽気だろ。
*1:アルコール度数45度ほどの強いブランデー。当時最新のものに「電気」と冠をつけることが流行っていた
UNISON SQUARE GARDENを知ってくれ
UNISON SQUARE GARDEN(以下ユニゾン)のMステ3回目の出演が終了しました。最高!7/6発売の6thアルバム「Dr.Izzy」より、血界戦線のEDで話題になった「シュガーソングとビターステップ」が披露されました。
3回の出演回すべてジャニーズ枠が関ジャニ∞という、神様私に気を遣いすぎじゃない?と思ってしまうユニゾンのMステ事情。
昔こんなことを書いたように、とにかくロックバンドにとってMステ出演は一大事。今まで認知すらしていなかった人にアピールできる大チャンス。
ユニゾンがこれ以上の市場拡大に積極的かといわれたら否だろうし、完全に余計なお世話なのだけど、せっかくのMステだしUNISON SQUARE GARDENというバンドについて紹介してみたいと思う。
UNISON SQUARE GARDENとは?
UNISON SQUARE GARDEN OFFICIAL SITE
キャッチーなメロディーラインとアンバランスな3人の個性が織りなす鮮烈なライヴパフォーマンスで右肩上がりにセールスと動員を延ばし続ける3ピース・ロックバンド。
ユニゾンといえば先述した通り、「シュガーソングとビターステップ」の印象が今は強いだろう。
UNISON SQUARE GARDEN「シュガーソングとビターステップ」ショートVer.
発売発表当初は、アニメ「血界戦線」はOPが同じレーベル*1であるBUMPだったのでバーターかよ!っと突っ込んでいたが、もちろん良い曲であることは間違いないのだけれどもここまでヒットするとは思わなかった。
しかし「いや、ユニゾンといえばこっちの曲だろう」という人も多いのではないだろうか。
UNISON SQUARE GARDEN「オリオンをなぞる」ショートVer.
アニメ「TIGER&BUNNY」の前期OPだった「オリオンをなぞる」だ。ユニゾンのヒットはこの曲からだし(私もこの曲でユニゾンを認知した)、シュガビタがヒットする前までは「オリオンのユニゾン」だったはずだ。
ちなみに「TIGER&BUNNY」には劇場版2作にそれぞれタイアップしている。
UNISON SQUARE GARDEN「リニアブルーを聴きながら」ショートVer. - YouTube
UNISON SQUARE GARDEN「harmonized finale」ショートVer. - YouTube
オリオンからシュガビタまでの間のシングルでとりわけ有名なのは「桜のあと(all quartets lead to the?)」だろうか。
UNISON SQUARE GARDEN「桜のあと(all quartets lead to the?)」ショートVer.
「夜桜四重奏~ハナノウタ~」OPだったこの曲。この曲と「harmonized finale」の時期にファンの母数が増えていたように感じる。
キャッチーなメロディーに語感のハマった歌詞、リズミカルなドラムにダイナミックなベース、明るく爽やかに鳴るギターといったところが楽曲の特徴だろうけどこれは個人個人で思うところが変わると思うので、まぁ聞いての通りというところです。
私はユニゾンを「ポップなロック」で「ロックなポップ」だと思っている。ポップもロックも両方請け負えます。(ちなみに「ポップなロック」を極みはマキシマム・ザ・ホルモンだと思ってるし、「ロックなポップ」の極みはSEKAI NO OWARIと思ってる。)
ポップなユニゾンがお好みなら4thアルバム「CIDER ROAD」、ロックなユニゾンがお好みなら5thアルバム「Cather In The Spy」をオススメする。
さて、次は愉快なメンバーについて紹介しよう。
斎藤宏介(Vo.&Gt.)
1985年6月24日生まれのニューヨーク州スカースデール出身の帰国子女。イケメン。高良健吾に似ていると名高い。個人的には話し方も含めミュージカルプリンス井上芳雄さんに似てると思ってる。ユニゾンで唯一まともな人。早稲田大卒。
ハイトーンの鋭い歌声が特徴的。田淵の難解な歌詞をここまで歌いきりながら複雑なギターフレーズもさらっと弾いてしまうなど演奏面も人物像もとにかくハイスペック。「スカースデイル」「三日月夜の真ん中」では作詞作曲も手掛けた。
ただし画力に関しては「画伯」。独特のセンスで生み出された哀愁漂う顔をした「しょくぱんくん」はじめ、ゆるすぎるキャラクターがグッズになったことも。
↑ゆるキモキャラクター「しょくぱんくん」
斎藤さんへの私の印象は「タフな人」。14年のはじめに声帯ポリープという、歌のお仕事をしている方にはヒヤっとするものを患ったが、ポリープを抱えた状態のままツアーを決行し無事成功。その後手術のためユニゾンは活動休止をしたが、一か月で復活。また、ライブ中に田淵のベースのヘッドが頭に当たり流血。が、応急処置を済ませた後そのままライブを続行(しかも予定より1曲増やす)。しかも2日後に元気にマキシマム・ザ・ホルモンと対バン。タフすぎる。
ポリープってのは単純に声が出づらくなったり、今まで出ていたはずの音階がでなくなったり、喉が疲れやすくなったりするらしく、体調面もそうだが精神面的にもキツイようで(ポリープきっかけで色々爆発してバンド辞めます宣言して半年以上の活動休止をしたバンドもありますし)。それを考えると、そんな爆弾を抱えた状態でよくツアーを成功させられたと。その時のツアーが5thアルバムの初回盤に音源として残っているけど、いつもとなんら変わりのないパワフルな斎藤さんの歌声が響いていて、事実を知ったとき驚いた。
ユニゾンはライブでリズム隊が暴走しがちだけど、それをきっちりまとめるのがボーカルである斎藤さんという、ちょっと変わったバンド。他が緑や赤なら斎藤さんは青。熱量を綺麗に私たちに届けてくれる斎藤さんほどバンドの中でのボーカルの役割を全うしている人を私は他に知らない。
田淵智也(Ba.)
1985年4月26日生まれ。父は危機管理・情報セキュリティコンサルタントである田淵義郎氏。最近お父さんがよく息子の宣伝してくれていて微笑ましい。ユニゾンのほとんどの楽曲の作詞作曲を担当。早稲田大卒。アニオタ。細田守作品の大ファン。唐揚げ好き。映画ドラえもん強火担。
「ベースこわい」「魔物が乗り移ってる」などMステ後散々言われている通りライブでの「荒ぶる田淵」は有名。あれTV用のパフォーマンスでも当てブリだからでもなく、むしろライブの時はもっと激しいぐらいだから異様。ユニゾンのベースラインはかなり難しいはずなのにどうしてあんなに動けるんだ。
「ライブにおける一体感至上主義の否定」「客とバンドの馴れ合いの否定」などを代表とする独自の「田淵論」(私命名)があり、「自分は何をイイと思っているのか」「何はダメなのか」をはっきり言葉で言えるぐらい明確にし、それに準拠した行動をとる。なかでも「一体感至上主義」にあたる「周りがやっているからと手を叩いたり拳をあげたりする」「バンド側が客にノリ方を指示する」ことに激しく拒否感があるようで、ユニゾンのライブはバンド側が客を煽る言動をすることはほとんどない。ファンにもその思想が濃く伝わってるのが、最近流行りのいつまで経っても「ファンに呼称をつける」文化が起きないことに表れている気がする。田淵の思想が色濃くユニゾン全体の活動にも出ている気がする。田淵の思想を知りたいなら公式ブログを見るのがてっとり早い。
BLOG | UNISON SQUARE GARDEN - official web site
私はTwitterのアカウントを削除してしまったのでソースが不確かになってしまったが、田淵が確かから揚げのフェスか何かに行きたくても行けなかった時に「できるなら 心と体を 2つにわけて君のもとへ」という歌詞を作りだしたエピソードが田淵をこれでもかと表していて大好き。
ユニゾンのみならずLiSA、戸松遥、梶裕貴から夜桜四重奏のキャラソンまで、アニメ系を中心に他アーティストにも多く曲提供、プロデュースをしている。「魔法化高校の劣等生」OPであるLiSAの「Rising Hope」など。
15年に「太陽曰く燃えよカオス(這いよれ!ニャル子さん)」の畑亜貴、「ハレ晴レユカイ」の田代智一、「夢をかなえてドラえもん(ドラえもん)」の黒須克彦*2というアニソン界の錚々たるメンツとQ-MHzというプロデュースチームを結成。オリジナルアルバムの発売を皮切りに、声優やアニソン歌手に曲提供をしている。
また、閉塞感の打破を目的とした「たっちレディオ」というネットラジオのパーソナリティーをQ-MHzの田代さんと一緒につとめている。アーティスト側から見た音楽業界の話や時事ネタ、漫画や映画ドラえもんについてまで真面目に語り倒すラジオである。7/9の0時更新分のラジオで吉田監督特集として田淵が「ヒメアノ~ル」や「ばしゃ馬さんとビックマウス」について語るらしい。楽しみ。
鈴木貴雄(Dr.)
1985年6月13日生まれ。TKO(たかお)。音楽が好きで好きで音楽やってないと生きていけない。斎藤さんからの第一印象は「友達になれなさそう」。アルパカ好き。最近ではサポートメンバーとしてなどソロとしても活躍。
貴雄はかわいい。雑誌の取材で「あなたにとってロックスターは?」という質問に「宏介と田淵…なんてね」とか答えたピュアボーイ。かわいい。編み物をしてた時期がある。かわいい。楽屋で突然構ってほしいのかわからないけど剣道の素振りみたいなのをして奇声をあげていた。かわいい。
貴雄のドラムソロはとにかく楽しい。祭りばやしから徐々に手数を増やしていく5thアルバムのツアーで披露したソロが一番好き。ベストアルバム「DOGOUT ACCIDENT」の初回盤のDVDに収録されています。
近年ではグッズのプロデュースを担当。お洒落。ハイセンス。今期のグッズも満足のお洒落さ。Tシャツだけで7種あるとか豪華すぎでは…!?
GOODS | UNISON SQUARE GARDEN - official web site
グッズに関しての貴雄の「どうしたって餅は餅屋。こんな、デザインやグッズが好きなだけの素人がいくら頭使っても、プロの人には追いつけない。でもね、いくらプロな人でも、UNISON SQUARE GARDENにはなれない。10年、曲がりながらも一生懸命、楽しい音楽を作り続けてきました。その歴史をグッズに落とし込めるのは僕だけです。」という言葉は後世にまで語り継いでいきたい。メンバーがグッズをプロデュースするってこういうことなんだ!
とにかくユニゾンが大好きでドラムがだいすきで音楽が大好きなぽやぽやのんびりしてるけど熱い人。
あまりにも楽しいロックバンド、ユニゾン
こんな個性あふれる3人が集まってできたバンドがユニゾンである。
元々は高校時代同級生だった斎藤さんと田淵がバンドを組んでいて(当時斎藤さんはギターのみ。もったいない…!)、大学進学後小学生の時同級生だった田淵の誘いで貴雄と3人で組むことになり、これがのちにUNISON SQUARE GARDENになっていく。
高校時代は斎藤さんと田淵は電車で別れる際の挨拶ぐらいしか会話していなかったし、先述した通り斎藤さんは初対面の貴雄と「友達になれなさそう」と思っていた。(田淵と貴雄は小学生時代仲良しだったし、田淵は女の子に人気があった(!))
3人がそれぞれ出会ったころ、斎藤さんは校則違反のパーマをかけていてビビられていたし、田淵はオタクでひねくれていて人見知りだったし、鈴木は自分には音楽しかないと悲壮感溢れていた。
3人バラバラで、バラバラだから当然のようにすれ違っていたし、「血まみれになった」と言うほど衝突した時期もあった。
それを経た今のユニゾンはどうだろうか。それぞれがそれぞれの才能を伸ばし、個性をぶつけたり融合させたりしながら唯一無二の「UNISON SQUARE GARDEN」という個性をつくりあげている。
「シュガーソングとビターステップ」のヒットをきっかけにユニゾンは認知度を上げファンを増やしメディアにも取り上げられるようになった。
こんなことを言うのは痛いことも承知。だけで私は思う。
時代がやっとユニゾンに追いついた!!!
ずっとずっと昔から、シュガビタの前からユニゾンは自分たちと向き合い、楽しい最高の音楽を作り続けてきた。ロックバンドとして当たり前のように、いい曲を作り、楽しい自由なライブをしてきた。
私もここ2年ほどの新規。私もユニゾンに気づくのが遅かった。遅すぎた。こんなとんでもないバンドを知らなかった時代を私は「もったいない」と評する。
UNISON SQUARE GARDENを知ってくれ。気づいてくれ。このロックバンドはあまりに楽しい。
ジャニヲタ、被災する。【後編】
4/12追記:気になるところがあって書き直したので再UP失礼します。サムネイルはどうにかしたかったけど諦めた!気にしないでください!
前編のあらすじ
突然の地震、くじけそうなジャニオタ、それを救ったのは渋谷すばるの圧倒的顔面の美しさと森田剛の舞台決定のお知らせと井ノ原快彦の笑顔だった――
というわけで、後編「終わらない余震、迫りくる舞台初日……果たして大好きなあなたに私は逢いに行けるのか!?」(長い)、お付き合いください。
避難生活の始まり
どうも住んでる寮の安全性が確かめられないので、耐震工事がしっかり施された学校の校舎で生活することになった。雑魚寝生活のはじまり。しばしの別れよふわっふわの羽毛布団。
本震の起きたあとの夜、初めて教室で寝た日は夜から明け方にかけて台風並の風と雨の予報だった。踏んだり蹴ったりとはこのことか。 前震から2夜連続で揺れているので、さすがの私もこの夜は大爆睡とはいかなかった。今夜大きく揺れたらどうすればいいのだろう。今までは外に避難していたが、雨風強いとなるとそれもためらわれる。緊急時にはそんなこと気にしている場合ではないが、さすがに野宿はできないだろう。はやくに布団に入って眠りはしたものの、余震で目を覚ましては風の音に怖がっていた。
7時頃目を覚まし、窓の外が明るかった時ことには涙が出そうになった。夜を超えた。揺れなかった。「日はまた昇る」なんて日本の歌詞に何度使われた言葉かわからないが、そのことがどうしようもなく幸せなことに感じた。
TVは無かったが、最初こそインターネットで配信されていたNHKの災害ニュースをみんな見ていたが、気が滅入ってきたのでしばらくするとみんな思い思いの好きなものを見ていた。
一連の記事で「気が滅入る」と何度も言った気がするが、ここから本当に気力との勝負だったと思う。しんどいって思ったら本当にしんどい。しんどいって気分のままいるとどんどん暗いことばかり考えてさらにしんどくなる。
だから明るくいようと、なるべく楽しいことをしていようと思って、フォエバコン*1見てた。何回見てもトリプルアンコのリボンシャワーで泣くよね!あそこの三宅健ちゃんの「すっげー!」って超素っぽい歓声で涙目になります。円形になったところで決壊する。
あとはすばるくんの「歌」のメイキングDVDも見ていた。すばるBANDのみなさんとかなりいい関係でレコーディングしているすばるくん愛おしい。「もう一回やりません?」って頬杖ついていお伺いするすばるくんには普段恋愛対象としては全く見ていなくても「彼氏になってください」と思わせる威力がある。
セクチャンとえびちゃんズーとガムシャラも見てた。ジャニーズは低予算orディレクターの理不尽と戦うバラエティをする決まりでもあるのだろうか。
ガスも出たがお風呂の数が人数に対して少なかったため2日おきに。本震後初のお風呂の気持ちよさは格別だった。温かいお湯ってこんなに気持ちいんだなと実感した。今大きいのがきたら嫌だなと思うとゆっくりしようという気分にはなれなかったが、だいぶ疲れがとれたように思う。
避難中は、楽しくすごせるよう務めた。楽しくなるよう、ちょっとしたゲームをしたり、お菓子持ち寄って食べたりと、色々やってみたから。楽しくなってきたタイミングで鳴る緊急地震速報にはめちゃくちゃ腹が立った。
デマももちろん絶好調だった。毎晩毎晩「今大きいのがくる」という噂がたっていた。本当に毎日毎日でていたので、嫌でも信じなくなる。「地震雲が出てるから危ない!」って毎日誰か言ってた。地震雲に科学的根拠は無いらしいです。あとは強姦事件発生の噂も回っていたがほぼデマだったらしい。ただ泥棒だけは本当で、500mぐらいの距離のところで泥棒が入ったという情報が入ってきた時はヒヤヒヤした。戸締り大事。
大変だったけど、いいこともあった。著名人の方々が続々と熊本入りしているニュース。私の大好きな俳優さんも来ていたり、ジャニーズからも中居さんが来ていた。目情があがっていた日にはいつもより深めに呼吸をしていた。滝沢歌舞伎で熊本について言及されたり、寝取られ宗助で募金をしていたり、あさイチで井ノ原さんが「明日も会いましょう」と言ってくれていたのも、伊野尾くんがラジオで熊本の子からのメールで涙していたのも知っている。ここまで届いている。TVでよく見る人たちがたくさん熊本について言及しているのを見るのはなんだかこそばゆいような、それでいてすごく嬉しかった。
それにV6のシングルの詳細が発表されて歓喜したり、エイトの元気魂映像化の告知文のズレてる感にちょっと苛立ったり、二つとも発売が6月と少し遅くて助かったなと安堵したりとしていた。
私的に一番嬉しかったのは、ONE PIECE声優の方々のメッセージ。私がジャニオタになる前、バンドに興味を示す前に2次元オタク声優オタクをしていた時に、所謂声優界の自担だったのはロロノア・ゾロ役の中井和也さんだ。正月そうそう行われていた中井さんが伊達政宗役を務める戦国BASARAの声優イベントに行きたくて泣いていたこともある。3次元で初めてハマった人だ。今でもスッキリやアッコにおまかせのナレーションを聞くとうっとりしてしまう。そんな彼が熊本に応援メッセージを送ってくれたというのが、6年越しぐらいの思いが通じたような、初恋が実ったような気分がしてなんとも嬉しかった。もちろん盛大な勘違いだとはわかっているよ!
しかし避難生活中の自分、今考えても不甲斐なかったと思う。もう少し気が利けば、もう少し周りが見渡せられれば、と反省することばかりである。集団生活もやはり長く続けるとみんなストレスが溜まってしまう。誰かを直接傷つけたというわけではないが、こんなときにしょうもないマイナスの感情にとらわれることがあった。私の元の人間がもっとできていればなぁ。こういう時に顕著に出てしまうので、普段から改善しておかなければならないと思った。
元々1人の時間はある程度は絶対に確保しておきたい人間だったから、最後の方は少ししんどかった。建物を検査して耐震性が保証され自室で寝泊まりするようになったのは地震発生から1週間が経った頃だった。
ちなみに雑魚寝は思ったほど体にキツくはなかったが、底冷えがひどかった。感染症が2名ほどでたので喚起のために窓を開けていたので超寒かった。3日目ぐらいから自室の別れを告げたはずの布団を持ち込んだので解決した。
実家への帰還
自室に帰れることとなり、交通機関もだいぶ復活したので、学校が始まるまで実家へ帰ることになった。
実家へ帰る前の日、自室のベッドで久しぶりに寝ようとしたところで、ある問題に気づく。暗いのが怖い。今までは電気代がもったいないと豆電球すらつけずに真っ暗で寝ていたが、今は真っ暗だとどうしようもなく不安になる。それと別に食堂で人が密着してご飯を食べる空間もなんだか息苦しく感じていた。恐らく、すぐに行動に移せない、逃げ出せない環境がダメになったのだと思う。前震のあとはあんなにぐーすか寝てたのに!と思ったがあの日も電気は点けて寝たのだった。
この暗いのが怖いという問題は少し胸がザワザワする程度だったので一時的なものだろうと心を収める。しかし余震が収まってない。気象庁はまだ「大きな揺れに警戒」と言い続けている。舞台に行くための新幹線のチケットもなんやかんや取ってない。困った。とりあえずチケットを持って実家に帰省した。
実家のマンションは見事にひび割れていた。割れているのは専門家によると壁だけで耐震性には問題ないとのことだったが、建物が歪んだのか扉が閉まりにくくなっていた。外壁が割れているのは精神的によろしくなかった。
そんなわけでうちには物音に敏感なビビリなお犬様もいたので、大規模修繕が終わるまで運よく借りれたアパートに住まいを移すことになった。人生初のお引越しにテンションが上がっていたことは否めない。
片づけをしながら実家の今までの話を聞いた。こちらはやはり食料も水も不足していて、近くの避難所から食事を分けてもらう生活を私が帰ってくる1日前までしていたらしい。地震発生から約1週間の期間になる。アパートも見つかるまではずっと車中泊。近くにペット専用の部屋を用意してくれている避難所もあったが、よく吠えるうちのお犬様には無理だと判断したらしい。1,2回ほど限界がきて親戚の家で休ませてもらったりした、と聞いた時はそばにいなかった自分が悔しかった。
ご飯はレンジでチンして食べれるご飯と缶詰だった。ここで私は劇的に感動したのだが、缶詰超うめぇ。100円と少しでこんなに満足度高いのか。味付けしっかりしてるしお魚が多かったが骨も気にならないしご飯との相性抜群。本当に100円と少しで満足度が高い(2回目)。チンするご飯も丁度いい固さ。非常食用と言わず常に持っておきたい。オススメです。この記事投稿したらサムネイルがこれになって非常に恥ずかしかったんですが、下のは私が一番好きなやつです。
帰ってからは実家の片づけに専念していた。引っ越しもするため荷物を減らそう、と思うと自然と断捨離をしていた。無の感情で捨てまくったおかげで、机の中身はすっからかんになった。黒歴史なノートや落書きたちは丁寧に包んで隠して袋の奥に押し込んだ。ふりむくわけにはいかないぜ…ふりむくわけにはいかないぜ…*2。
ゴミは道のあちらこちらにあふれていた。2週間以上たっても片付いていないところも多々ある。ブラウン管ってまだあったんだな。
文字通り足の踏み場もなかった部屋もなんとか今では元の状態に戻っている。幸いリビングに背の高いものを置いていなかったのでそこを拠点に片づけることができた。倒れた棚の下から青い封筒と入れっぱなしだった会員証を回収したときほどの達成感はしばらく味わう事はないだろう。
GW手前まではこうして家の整理をしながら過ごしていた。地元近くの大型ショッピングモールが軒並み被害を受けて営業できない状態だったのは辛かったが、地震から1週間も経つとだいぶ物流も回復してスーパーは通常通り営業していたので助かった。大型ショッピングモールは私のよく行く範囲はどこもまだ営業完全再開には至っておらず、いやはや今後映画はどこに見に行けばいいのか…。スキャナーはいいぞ芸人に私も早くなりたいところ。
舞台に行きたかったヲタク
そろそろ舞台の話に入ろう。
元々、私の家は県外の現場に行くことをあまりよろしく思っていない。2,3年前までは煩わしく思っていたが、そう思われる原因は大きく私の極度な土地勘の無さと学生の本分は勉強であるにも関わらず成績不振なところにあるので、今では信頼を得られていない自分自身が悪いと納得している。あまりライブなどに関心が無い親なので理解を得るのも難しい。(なんなら私以外の家族みんなジャニーズアンチだ!)
それでも今回のForever Plaidは、公演が発表された日から交渉を重ね、交通計画を年密に練り、時にはチケットを一般発売で許可を得る前に取る強硬手段に出たり、許可をとったと思ったら急に翌日が祝日であるにも関わらず登校日になったのでふりだしに戻ったりと、色々問題はあったがとにかく自分の計画性をアピールした結果やっと許してくれた現場である。
どれだけ諦めろと言われても、周りと比べて厳しすぎるように感じる家族に逆ギレすることもせずにいれたのは大天使と噂のジンクスちゃんを演じる長野博を一目みたいがためであった。現場に回数重ねて行けないオタクは、1回の現場に対する執念が深い。私がV6で最初に保存したのは長野さんだった。今までなぜ長野さんがこんなにも美人であることに気づかずにいたのかと悔いたレベルだ。あの太く凛々しいのに薄い眉、ポメラニアン(@松岡くん)のような瞳に薄くむぎゅっとした唇、そしてあの柔らかい笑み。見たい、超見たい。
それに再演になるほど、坂本さんに「あのミュージカルをやれる長野が羨ましい」言わしめるほど好評価の舞台、3月に劇団新感線を見て以来加速している観劇欲を抑えることは難しかった。
それだけの思いを募らせていても、結局私は「行かない」という判断をした。
正直、1週間経っても気象庁からの「1週間程度は強い揺れに警戒」の言葉が消えなかったときにくじけて、地元に帰って実家から出ることが決まった時に心が折れちゃったんだと思う。
地元に帰ってから、舞台に行きたい気持ちと、観劇中にもし何かあったらと不安になる気持ちがずっとせめぎあっていた。慣れない部屋ではうまく眠ることができなかった。電気を消して眠ることさえできない自分が、果たして心の底から舞台を楽しむことができるのか、わからなかった。
だから親と話し合って、「お願いだから家に居てちょうだい」と言われたときに、首を横に振ることはできなかった。
だから、「行けなかった」ではなく「行かなかった」。
はぁ~~~~憎い!!!地震が憎いし自分の心の弱さも憎い!!!! あんなにやっと長野さんに会えるとワクワクしていたのに、ここでなんとしてでも行くと覚悟が決めきれなかった自分が憎い。地震発生してもずっとジャニヲタで、ジャニーズでこんな時でもハッピーになれるからジャニヲタ最高!ってぐらいヲタクしていたのに、肝心な時にヲタクになりきれなかった。地震で自身に自信が無くなっていた(大爆笑)(喝采)(腹を抱える観客)
それでもね、自分が憎いけどあの時の判断を後悔はしていない。ヲタクとしては正しくないけど、あの状況にいた自分としての判断は間違ってなかったと思うから。やっぱりあの状況で行っても100%楽しむことはできなかったと思う。だから、後悔はしてない。
けど悔しいもんは悔しいからそう決めた舞台前日から初日の幕が下りるまで泣き通しだった。チケットがお手元に用意されてるのに行かないなんて初めての経験だった。当時華のJKが、バレンタインの日にチョコも作らずコンビニで待機して勝ち取ったチケット。取れた時は「長野さんからの逆チョコ!!(ただし資金は自分持ち)」と喜んだものだった。
ジャニヲタ楽しい!ってずっと言い続けてるけど、こういう時に逃げ道を作っておくことは大事なのかもしれない。剛君の舞台が発表されていなかったら、関ジャニ∞が好きではなかったら私はもっと落ち込んでへこみまくってスライムになって勇者に一撃で倒されていたかもしれない。ヲタクは生活の一部にしてしまうほどのめり込んで愛するものだから、それが崩れると自分の生活にモロ影響を出してしまう。実際私はこの時片づけもせずずっと寝込んでいたが、あまりにも無気力になりすぎるといけないと思ってエイトのライブを見て元気を出していた。
ずっとそうやってエイトを見つつも引きずっていたが途中で落ち込むことにも疲れ、「ああ、もうネタバレとかなんとか避ける必要はないのか」ということに気づき、終演直後のTwitterに「フォエプラ」で検索をかけた。
するとそこには「楽しかった」「最高だった」「幸せだった」「行って良かった」と、舞台を称賛する言葉が溢れていた。つぶやいている人みんなが言葉だけで伝わるぐらい幸せそうだった。
それを見て私はなんだか満足してしまった。「公演初日、無事成功したんだな」と、感想を読んでこちらも幸せになるぐらい嬉しかった。自分は行けなかったけど、長野さん松岡くん慈英さん壮麻さん、その他大勢のスタッフのみなさんの舞台は成功したんだなと思うとそれだけで嬉しかった。好きな人のお仕事が成功した、それだけで嬉しくなるようなヲタクだった。
囲み稽古で長野さんが「九州の方が来てくださいと言ってくださるから、僕らも行ける」というようなことを言っていた。もちろんウェルカムだが、実際キャストさんスタッフさん側も、この時期に震源から遠い久留米とはいえ大きいのがくると揺れるところに来るのに不安がないことはないだろう。それでも来てくれて、お客さんを幸せにしてくれた。そのことに気づいて、感謝の気持ちが溢れた。九州に来てくれてありがとう。舞台中にくまモンの話題を出してくれたこともレポで知った。それで十分、私の現場に行けなかった怨霊は成仏した。
総括
ジャニヲタで助かった!!!!!
すっごいキツかったししんどかったけど、ジャニーズにたくさんの勇気と元気をもらえたおかげで頑張れた。
アイドルは完璧じゃないから、完璧を求める人に馬鹿にされることもある。お芝居も歌もダンスもいいとこどりするから、中途半端と正当に評価されないことも多くあると思う。それでも、完璧じゃなくても中途半端でも、方法はそれぞれ違うにせよ「人を笑顔にする」というお仕事をしているアイドルが、根拠も理由も保証もない見ず知らずの人間の時には迷惑なぐらい大きな「好き」を受け止めてくれるアイドルという仕事が、私は物凄くかっこよくて素敵だと思う。改めて、そう思った。
前編から、たくさんの方に記事を読んでいただいたみたいで、ありがとうございます。これは私が大変だったことをちょっと誰かにお喋りしたいって気持ちで書いたものなので、これを読んで実際に参考になるかは不明です!!
ただ、日本に生まれた以上震災に合わずに一生を終える確率の方が低いのではないかと、今回の経験で私は思いました。なのでどうかみなさん、近い将来起きると言われているものまでありますし、避難道具だけでなく災害時の行動に対する知識を入れておくなど、準備をすることを強くお願いしたいです。
そしていつか九州に遊びに来てください!丸山隆平さんと村上信五さんが一口城主として名前が記載されていた熊本城はしばらく入れませんが、熊本城下の郷土料理やお土産が楽しめる城彩苑は営業再開していますし、熊本県ではなくくまモン県ではないかと言われるぐらいにくまモンで溢れている楽しいところです。私は結構、熊本が好きです。
最後になりましたが、TVのL字の震災情報も消えたし、日常は取り戻したように見えますが、まだ余震は続いており、強い揺れへの警戒は続けておかなければならないのが現状です。被災者でありながらも私は被害は軽い方です。避難所生活が続く方も多いと聞いています。心からお見舞い申し上げます。微力ながら、私も何かできることをお手伝いさせていただこうと思っています。一日も早く平和な日常が送れるよう心からお祈りいたします。
眠れずに見上げた空に光る 流れ星飽きもせずながめてた
振り返り立ち止まることもあるけど 明日だけを願っていればいい
笑い飛ばせるさ、何が起こっても僕ら
背中合わせで 再会を願って歩んでいくよ
WALK / V6
ジャニヲタ、被災する。【前編】
渋谷すばるの演技年表
2年目のソロツアーも始まり、また名曲ばかりのカヴァーアルバムを出したことによる露出、関ジャムやクロニクルで意外な一面を見た、などで「渋谷すばるが気になっている」人を最近見かける。
なので自分の勉強もかねて、春休みの自由研究と称し、渋谷すばるが今までどのような仕事をしてきたのか、演技面に絞ってまとめてみることにした。
ここで紹介するのは「関ジャニ∞」名義でなく「渋谷すばる」名義のもの、としているので「エイトレンジャー」シリーズや「パパドル!」、またJr.期の「Another」など「関ジャニ8」くくりで出演していた松竹座時代の公演は割愛させていただく。
ほぼインターネットで公式サイトや先人たちの感想を元に作っているので、間違っている箇所があればコメントや私のTwitterにでも連絡していただけると嬉しいです。
・1981年9月22日
誕生
・1996年9月22日
ジャニーズ事務所入所
・1997年8月~
舞台「KYO TO KYO」
わらべ 役
97年と98年に夏から半年ほど今日とのシアター1200で行われた舞台。ストーリーは今日との歴史を音楽劇のようにしたものらしい。1日5回公演で、完全に休みの日は月に1度の鬼畜スケジュール。
ちなみに京都の舞台に出れるということで関西ジュニアに応募が殺到したとか、終わっても次に繋がらなかったため辞めるジュニアが多かったとか、それで残ったメンバーが現関ジャニ∞として活躍してるとか…。
2015年3月7日のイフオア*1MCによると、そもそも三馬鹿のオーディションは京都にでてこれる子を集めたものだったらしい。これからするとKYO TO KYOに出れる関西の子を募集しオーディション→合格し事務所に入所した子は舞台に→舞台終わった後仕事がなく辞める子多数→残った子を集めて関西ジャニーズJr.結成?
渋谷の役は98年KYO TO KYOパンフレットによると「浴衣を着てじゃんけんをする”わらべ”」。上記イフオアのMCによると浴衣着て下駄履いて、おいでおいでしたら弁慶が出てきて驚いてはける、というものらしい。
ジャニーズ・ファンタジー KYO TO KYO ’97夏公演 [VHS]
- アーティスト: オムニバス
- 出版社/メーカー: ジャニーズ・エンタテイメント
- 発売日: 1998/01/01
- メディア: VHS
- 購入: 7人 クリック: 167回
- この商品を含むブログ (15件) を見る
・1997年12月
舞台「MASK」
(?) 役
サマーコンサート終了後の楽屋で突然ニューヨークへ行くと言い出すサカモト(坂本昌行)。冬に舞台「MASK」が決まっていたため、止めようとするオカダ(岡田准一)とイノハラ(井ノ原快彦)。しかし声も届かずサカモトは旅立ってしまい、2人は苦悩する。なんとか代役を立て上演するも、オカダが倒れてしまう。実はオカダは病に冒されており、サカモトはそれを知っていて休ませるためのニューヨークへ行ったのであった……
結末を言ってしまえばオカダは死んでしまい天国でMASKを見ることになるが、実はすべてオカダの夢であるという壮絶な夢オチ。
元は少年隊主演の舞台で、V6の坂本、井ノ原、岡田を主演に再演したのが97年MASK。この後タッキー、光一くんへと引き継がれていく。
すばるくんの役は探しきれなかった…恐らく役をもらっていないと思ってるけどどうなんでしょうか…
・1998年4月~
舞台「KYO TO KYO」
再演。すばるくん含め現関ジャニメンバーがメインクラスに。初めて渋谷をソロで出した場所らしく、「スリラー」「愛してる 愛してない」などを披露。これが後述のMステに繋がってくることになる。「愛してる~」は棺からでてくる演出のやつです。
・1998年6月26日
MステジャニーズJr.出演。すばるくん「愛してる 愛してない」を披露、そして伝説へ。ちなみにこれはNO棺。
・1999年4月~6月
ドラマ「あぶない放課後」
田中 春 役
ジャニーズJr.の二宮和也と渋谷すばるのW主演で贈る学園ミステリー。親の再婚で義理の兄弟になった男子高校生2人が、学校で起きる怪事件に挑む。
(「VIDEO INSIDER JAPAN」データベースより)
嵐の二宮和也さんとW主演で、ヒロインは加藤あいさん。原作は『のだめカンタービレ』の作者で知られる二ノ宮知子氏の『転載ファミリー・カンパニー』。V6の「Believe Your Smile*2」を渋谷がカバーして歌ったものが主題歌となっている。
・1997年7月4日
ドラマ「怖い日曜日」第1回「8mmビデオの中の少女」
「怪談百物語の会主宰」と称したナビゲーター(横山裕、亀梨和也、佐藤崇、長谷部隼)が番組を進行。視聴者の心霊体験を投稿してもらい、オムニバス形式でジャニーズJr.が演じるドラマとして紹介する体裁をとっていた。
渋谷が出演した第1回は後に総集編でも放送されている。ホラーが苦手なのでストーリーは勘弁してください…。
・2000年1月~3月
ドラマ「行け行けイケメン!」
ハル 役
私立セントファビュラス学園に所属するリュウイチ(村上信五)、ハル(渋谷すばる)、ヒロ(横山裕)のイケメン3人組が生徒達の平和な学園生活を守るために、学園内にある百葉箱に入れられた依頼の手紙を受けて、いかなる事でも解決していく学園ドラマ。
三馬鹿が主演をする今となっては考えられないドラマ。09年6月4日のレコメンにて3人にこのドラマについて言及されている(当時衣装来てコンビニ言ったら「イケメンでしょ!」と声かけられた、すばるがふざけたのにヨコが怒られてた、など)。「イケメン」という言葉が普及し始めたのが00年の頃なので、言葉の浸透に一役買ったと言える。監督の松田秀和氏は07年7月放送の『花ざかりの君たちへ~イケメン♂パラダイス~』も担当しており、後に横山さんは監督に「あれやったからイケパラもとれたんだよ…冗談だけどね」と言われたらしい。*3ちなみにプロデューサーの萩野哲弘氏は「ヤスコとケンジ(大倉出演)」「有閑倶楽部(横山出演)」も担当。
・2000年2月8日
ドラマ「大地の産声が聞こえる 15才いちご薄書」
坂本英輔 役
中学3年生の少女が家族4人と共に郊外に引っ越しをするが、そこは今までとは全く違う田舎の古い農家。思春期を迎えて自分の生活環境に疑問を抱きながらも、少女は次第に大自然の中で大きく成長していく。カネボウヒューマンスペシャル第20弾。
榊田いちご(池脇千鶴)は高校受験を控えているが、家族の絆と自然を大切にする教育方針によって、夕食作りや妹の世話など家事の手伝いをさせられている。これに反発するいちごだが、優等生として受験勉強にまい進していた友人・英輔の死、父・和馬(赤井英和)と同行した母親の故郷への旅を通して、両親の生き方を理解していく。そして母・多恵子(浅野ゆう子)が4人目の子供を自宅で出産するのに立ち会ったいちごは、生命の力強さに圧倒される。
(放送ライブラリーより)
カネボウヒューマンスペシャルの第20弾で最終作。芸術祭賞(第55回優秀賞)、日本民間放送連盟賞(第48回ドラマ番組部門優秀)を受賞。渋谷が優等生役と少し驚くキャスティング。お金持ちで優等生だけど親との確執などもあり最後は入水自殺をしてしまう。悲しい。
・2001年1月7日
ドラマ「史上最悪のデート」5th DATE「占いオトコの爆弾地獄」
今井 慎太郎 役
占い好きのオトコ・今井(渋谷すばる)の桜井さん(山川恵里佳)とデートする今日の運勢は最高のラッキーデー。告白しようと意気揚々と出かけるも、子供にボールを当てられたり、ハチに刺されたりと散々。しまいには爆弾魔に捕まってしまい……
相葉雅紀さんがデートキングとして相談・情報パートの進行、ドラマパートをジャニーズJr.および嵐が「史上最悪のデート」を1話完結で演じる3部構成。渋谷が出演したのはこの第5話で、アフロヘアーオチというところで内容は察していただきたい。
・2001年9月24日・28日
ドラマ「プラトニック・セックスー娘の叫び!親の涙…そして親子の闘いが始まるー」
吉村 卓 役
ベストセラーとなった原作の裏に隠されたもう一つの物語。互いの愛情を確認できず苦しむ親子の数年にわたる壮絶な記録を2夜わたって送る。
15歳の加奈(星野真里)は、ろくに学校にも行かず恋人・卓(渋谷すばる)や、親友の千佳(浜丘麻矢)らとつるんで、カツアゲをしたり、シンナーを吸うなど始終カウンセリングの世話になるような生活を続けていた……
飯島愛が自らの半生を赤裸々に綴ったベストセラー小説「プラトニック・セックス」をドラマ化した作品。 第1部:17歳の青春編「家族崩壊から愛を取り戻すまでの涙の7年間壮絶記録」と第2部:20歳の純愛編「AV・中絶・裏切り…愛を求め続けた家族の再生記録」の2部構成。渋谷演じる吉村卓は主人公の彼氏であり、学校に行かず遊んでたりカツアゲしたりとかなり素行の悪い役。喧嘩した際に父親を負傷させ、少年院送りになる。濡れ場が多いので要注意。
・2002年12月
関ジャニ8結成
・2004年8月25日
関ジャニ∞として関西限定CDデビュー
・2004年9月22日
全国デビュー
・2005年2月~
スバッド役
ヴォードビルの花形ダンサーだったラッキー・ガーネット(坂本昌行)は、ひょんなことから自分の結婚式に遅刻してしまう。激怒した婚約者の父親から再度結婚を認めてもらうために出された条件は、ダンス以外の方法で1カ月以内に25,000ドルを稼ぎだすこと。条件達成のためニューヨークに向かったラッキーは、ダンス講師のペニー・キャロル(紺野まひる)に出会う。ペニーに一目惚れしてしまったラッキーは彼女とコンビを組み、賞金50,000ドルのアマチュアダンス大会に出場するのだったが……。
1930年代、黄金のダンスコンビとうたわれたフレッド・アステアとジンジャー・ロジャース主演の映画「スイング・タイム」が『NEVER GONNA DANCE』とタイトルを変えた舞台版。トニー賞最優秀振付賞に、オリジナルの振付家ジェリー・ミッチェルノがミネートされたことでも話題。
主人公ラッキーのライバル役が渋谷演じる黒人ダンサーのスバッド。アマチュアの大会に出場しているものの実はプロ、という役なので大変だったんじゃないかな…。舞台映えするように太らせようと、坂本さんがすばるくんの昼飯を作ってあげてたとか、でも舞台が始まったら緊張で日に日に痩せていったとか…。
・2006年12月28日
ダブル(複体)
スバル/昴 役
天才ピアニストとしてニューヨークで活躍するスバル(渋谷すばる)は、3年前に日本で誤って女性を轢いてしまった過去を持つ。久しぶりに日本へ戻ってきた際に、当時の恋人と仕事先で再開する。しかし、日本に戻ってきて以来、自分に覚えのない写真をマスコミに撮られたりするなど、不可解なことが多々起こる。まるでスバルが二人いるかのように…。
(Wikipediaより)
関ジャニ∞青春ドラマシリーズとして「ダイブ・トゥ・ザ・フューチャー(村上主演)」「蹴鞠師(横山主演)」と共に放送。マネージャー役に丸山さん、パーティーに出席していたドラマーに大倉くん、FM曲の人気DJに安田さんと、関ジャニ∞メンバーが脇を固めている。
ダイブ・トゥ・ザ・フューチャー、ダブル(複体)、蹴鞠師 スペシャルDVD BOX
- 出版社/メーカー: インペリアルレコード
- 発売日: 2007/08/15
- メディア: DVD
- 購入: 1人 クリック: 115回
- この商品を含むブログ (44件) を見る
・2008年1月~2月
舞台「「未定」壱」
村上信五と渋谷すばるの松原.コンビによる2人劇。ジャニーズを野菜に例えたり、後輩にドッキリメールを送るVTRや、10分間の即興コント、BLオフィスラブコント、村上さんの落語にすばるくんのハゲ面フライングなどコント盛りだくさん。なのでストーリーはないが、最初と最後の楽屋セットのやり取りで、実はすばるくんのオカンが入院していて…という少し感動要素の入った劇がある。この翌年度から始まる村上さんの一人舞台「If or…」シリーズの原点ともいえる。
・2008年10月7日
ドラマ「ありがとう、オカン」
高村 幸也 役
大阪・西成のとある高校の卒業式。屋上でサボっている高村幸也(渋谷すばる)とは反対に、卒業生代表で答辞を読む葉山虎太郎(村上信五)。そんな虎太郎に声援を送っているのが西田華子(大竹しのぶ)だ。華子は夫の死後、従業員の庄内(六平直政)らと西田製作所を営みながら、事情があって親と暮らせない子供たちを引き取り里親をしている≪名物オカン≫。現在は実子の紀世子(戸田恵梨香)と里子である幸也と虎太郎、他に幼い2人の里子たちと暮らしていたが、幸也と虎太郎は卒業・就職を機に、1人暮らしを始める。そんな西田家に児童相談所職員の長谷川照雄(大杉漣)と永坂万梨子(石田ゆり子)が、父親のトラブルが原因で身寄りのない入江敦史(加藤清史郎)を連れてやってきた。知らない大人に囲まれ不安な敦史は、冷蔵庫の食べ物を食い散らかしたり、わざと食器を割ったりと反抗するが…。
養子縁組とは違い、本当の親子ではない。ただ一時期、一緒に暮らすだけ…。バラバラになってしまった里親と里子たち。「親子の絆」の行方は…?(フジテレビ公式サイトより)*4
関西テレビ放送開局50周年記念ドラマ。09年に平成21年度日本民間放送連盟賞番組部門・テレビドラマ番組優秀賞を受賞。「里親家族」をテーマにしたヒューマンドラマ。挿入曲として劇中で渋谷が「手紙」「TELL ME」を歌っている。
関西テレビ開局50周年記念ドラマ ありがとう、オカン [DVD]
- 出版社/メーカー: TEICHIKU ENTERTAINMENT(TE)(D)
- 発売日: 2009/02/25
- メディア: DVD
- 購入: 1人 クリック: 47回
- この商品を含むブログ (10件) を見る
・2009年9月~10月
舞台「DREAM BOYS」
スバル(チャンプ) 役
1999年に一世を風靡した人気アイドルのカズヤ(亀梨和也)、スバル(渋谷すばる)、ユウヤ(手越裕也)の3人。それぞれのやりたい道を進むために解散。10年後の2009年、ボクシングでチャンプになったスバルをモデルにした映画をカズヤを主役に撮影することになったが、スバルの反発で撮影は進まない。決着をカズヤとスバルのボクシングの試合で決めることになったが、カズヤのグローブに仕込まれた鉛の板によってスバルは倒れてしまう……
初年の滝沢秀明主演から亀梨和也さん、玉森裕太さんと主演が引き継がれてきたジャニーズ舞台。09年ドリボは亀梨さん、すばるくん、手越裕也さんを中心に展開。「歌姫競演」と言われるほど歌唱力が高い3人が集まっている。横山さんがジャニーさんに「すばる、ドリボやるかな?」と相談されたのはこのドリボ*5。
・2011年8月20日
ドラマ「生きてるだけでなんくるないさ」
木下 大輔 役
将来に何の不安もなく気ままに過ごしていた一人の青年・石嶺栄作(村上信五)、25歳。ある日、栄作は「数十万人に一人」という症例の少ない悪性腫瘍と診断される。想像を絶する辛い抗がん剤治療と、死ぬかもしれないという恐怖に苦しみ自暴自棄になってしまう栄作。
そんな彼を救ったのは、どんな時も寄り添い続けた恋人・美香(田中麗奈)、そして、母、祖母、友人ら、周りの人々の支えだった。病気と向き合い、腫瘍摘出の手術も無事終えた栄作は、あらためて普通に生きていられることの大切さに気づく。
しかし、病気はまだ栄作を許してくれなかった。半年後、悪性腫瘍が再発してしまい……。
(公式サイト*6より)
2011年の24時間テレビ内で放送されたスペシャルドラマ。原作は玉本栄作著の同タイトル。
渋谷が演じる木下大輔は、中学時代から一緒の悪友で、栄作を励まし、栄作が美香に話しづらいことも話せるかけがえのない存在。
・2015年2月14日
映画「味園ユニバース」
大森茂雄/ポチ男 役
大阪。広場で行われていたバンド【赤犬】のライブに、ふらふらと現れた男(渋谷すばる)。マイクを奪い、声を放つや、会場は水をうったように静まりかえる。圧巻の歌声! そのまま気を失った男だったが、目を覚ますと自分のことを何も覚えていないという。記憶喪失。傷だらけの顔。その正体と歌声に興味を持った【赤犬】マネージャーのカスミ(二階堂ふみ)は、彼を“ポチ男”と名付け、祖父と暮らす自分の家に住まわせながら、バンドのボーカルに迎えようとする。しかし、フラッシュバックで少しずつポチ男の記憶が蘇る―「俺は、危険かもしれない」。それぞれの中で止まっていた時間が、また動き始める。
公式サイト(映画『味園ユニバース』)より))
渋谷すばる初単独主演映画作品。主題歌の「記憶」「ココロオドレバ」でソロデビューも果たす。この映画のために長かった髪を30cmばっさり。撮影以後もバリカンで髪を剃ることにハマり、アイドルには見えないぐらい頭皮が見えるほどの坊主にし、1年弱のあいだ頭髪事情でファンを惑わせた。
第19回ファンタジア国際映画祭にて最優秀主演男優賞と最優秀脚本賞、第10回KINOTAYO現代日本映画祭にてソレイユ・ドール観客賞(金の太陽賞 グランプリ)、おおさかシネマフェスティバルにて監督賞・撮影賞・音楽賞・日本映画ベストテン(作品賞)3位を獲得。その他ウディネ・ファーイースト映画祭コンペティション部門、第44回ロッテルダム国際映画祭スペクトラム部門、モスクワ国際映画祭、アメリカ・ニューヨークアジア映画祭、スコットランド・エジンバラ国際映画祭など多数海外映画祭に出品されている。
以上である。演技仕事を避けていただけに、デビュー後の仕事の間隔が広い。私はここには紹介していない「エイトレンジャー2」で渋谷が演じる渋沢薫の儚い表情に惹かれてオタクになった身であるので、彼の演技が大好きだ。彼の見せる複雑な表情が好きだ。いつかまたお仕事をしてくれないかと心待ちにしている。
去年、初めて主演映画というものをやらせていただいて、そっからソロ活動というものが始まったんですけども、なんか、今までやったことなくて。やったことないことから得る物ってすごく大きいなってあって。なんかそういうものをやってみたいってのはありますね。まあ映画ならまた全く違った役柄…映画じゃなくてもいいんですけど。
(16年2月20日 ラジオ「SAPPORO BEER OTOAJITO」より)
16年2月時点で、演技仕事に対しても前向きな姿勢であったことを私はしつこく覚えていようと思う。
V6 LIVE TOUR 2015 -SINCE 1995~FOREVER- 感想
「V6 LIVE TOUR 2015 -SINCE 1995~FOREVER-(以下フォエバコン)」を見ました。
LIVE TOUR 2015 -SINCE 1995~FOREVER-(DVD4枚組)(初回生産限定盤A)
- 出版社/メーカー: avex trax
- 発売日: 2016/02/17
- メディア: DVD
- この商品を含むブログを見る
LIVE TOUR 2015 -SINCE 1995~FOREVER-(初回生産限定盤B)(DVD4枚組)
- 出版社/メーカー: avex trax
- 発売日: 2016/02/17
- メディア: DVD
- この商品を含むブログを見る
LIVE TOUR 2015 -SINCE 1995~FOREVER-(通常盤)(Blu-ray Disc2枚組)
- 出版社/メーカー: avex trax
- 発売日: 2016/02/17
- メディア: Blu-ray
- この商品を含むブログを見る
まさにV6の20周年、20年間の集大成だった。20年の歴史をディスク2枚にぎゅっと詰めたようなライブ。これからV6に興味を持った人には迷わずこのDVDをオススメしたい。
人気曲ばかりの贅沢な前半パート
今回のセトリにはファンの人気投票が反映されている。V6楽曲大賞1995-2015
を見ていただければわかるように、Air,Supernova,HONEY BEATなどファンから圧倒的な支持を持つ楽曲が前半に集められている。ここで推したいのは、ただ人気曲を集めただけではなく、新たな演出と共にがっつり披露してくれているところだ。
『Supernova』は11年セクバニコン*1と13年OMGコン*2で披露され、2パターンの振付が存在するのだが、今回のフォエバコンではそれをミックス。1番をOMGコン振付、ラスサビからセクバニコン振付となっており、さらに間奏部分ではレーザーライトを操る演出がプラス。これが3曲目にぶちこまれるんだからたまったもんじゃない。
人気曲というのはコンサートでの演出が大きな要素になっており、アルバム曲やカップリングが多い人気曲ではリリース年のコンサートで披露されたきり、翌年には簡略化されて披露という形が多く、好きなのにもう見れないという事態が起きる。しかしアニバーサリーの力は強い。あの人気曲を再び、しかも当時の演出を踏襲しながらも「今」のV6が魅せる新たな演出がプラスされている。つまり、好きな曲に2パターンの演出が存在することになるのだ。ありがたい。
DANCE!DANCE!DANCE!!
とにかく踊る!踊る!前半人気曲を固めたらずっと踊っていた。平均年齢当時約39歳が前半16曲中振りがあるものという基準でカウントすると13曲踊っている。後のインタビューで森田さんが「しゃがむのがきつい」と言っていたが、しゃがむのがキツくなっている人たちが踊る量なのかこれは。そしてこの量を立ち位置含め覚えていることがすごい。メイキングにて坂本さんが「曲が流れると振りと立ち位置が勝手に出てくる」とどうやら体で覚えているようだが、ダンス経験のまったくない私には想像もつかない領域である。V6のダンスの特徴は細かい振りと目まぐるしく変わるフォーメーションだと思っているので、これが堪能できてかなり楽しい。
圧巻の演出
V6のコンサートといえば光の演出が特徴的である。VIBES*3やOMGコンで使用された一部ファンから「エロパスタ」と呼ばれる発光するゴム(?)や、メンバーカラーのピンスポが淡く柔らかく照らすREADYコンのAir、V6 SUMMER SPECIAL DREAM LIVE 2003では日本照明家協会賞新人賞を受賞している。
そして今回もV6の照明チームは素晴らしかった。レポで「変態照明」という言葉が蔓延しており、入っていない私には何のことかわからなかったが、実際映像を見てなるほど変態照明だと、極めすぎたことに対する称賛としての変態だと理解した。
何よりも特徴はセンターステージの上に円形に並べられた鏡。この鏡の角度を変えて光を反射させることにより、自在な光の動きを魅せている。こんな具合に。
私が特に綺麗だなと思ったのが『涙のアトが消える頃』の演出で、この曲が初めてこの鏡が効果的に使われた場面だったと思う。センステにぽつんと置かれた白い椅子と、それを囲む6人。誰も座っていない椅子に語り掛けるように森田さんが歌いだして始まるのだが、白い柱が伸びてきたと思ったら照明だった。な、何を言っているのかわk(ry。白い柱の正体は鏡に光を垂直に当てたことで反射光も真っ直ぐになるためにできた光の柱であった。体の半分を過ぎたころになってやっと光だと気付いた。光の柱でできた柵に囲まれた6人は、もう誰もいない椅子を見ながら、彼女に心が囚われているようすを表しているような、この曲の世界観に合わせた光だった。
もちろん凄いのは照明だけではない。個人的に感動したのはモニターの映像と6人の動きのリンク。『Air』で坂本さんが伸ばした手に、暗転して再び明るくなったときには赤い花束が握られているという演出があるのだが、この時の映像が「光が坂本さんの手の位置に降りてくる」「花束を持った6人が歩き出すタイミングで光が点から広がる」と、サプライズ演出を見事に支えている。
他にもカミセンの『キミノカケラ』では、白黒で始まった世界が、ラスサビ前で三宅さんが指を鳴らすと世界に色が灯る。この指をならすとき、伸ばした三宅さんの腕の位置を爆心地として周りに色を灯していくような映像になっている。おかげでさながら三宅さんが世界の創造主、色を灯す魔法使いのようである。美しい。
そんな洗練された演出がぎゅっと詰まっているのが前半ラストの『SP "Break The Wall』。レーザーが6人を貫くところから始まり、先ほど紹介した鏡はもちろん、会場内の全ての照明が使われているのではないかというぐらい降り注ぐ嵐のような光。SPのあのテーマが流れると共に緑のレーザー一色で染まる会場。細かい歌割りに対応してきっちりと中心に当ててくるピンスポ。そしてまた降り注ぐ嵐のような光。最後に手にもったレーザーでバックのツアーロゴを照らすところまで息もつかせぬ圧巻の演出である。
そしてその後MCタイムのためにステージが照らされるのだが、スタンドに設置されているモニターがステージまで光を運ぶような映像になっていたりと芸が細かい!w
怒涛の39曲メドレー "39 Symphony"
MC後、後半からはノンストップでシングル39曲を繋ぐ『39 Symphony』が展開される。10周年を思い起こさせる『Orange』に合わせて、英語詞が効果的に流れるイントロ。『Sexy,Honey,Bunny!』の冒頭での坂本さんの「Sexy!」を他メンバーが奪うセクシー泥棒芸に、『kEEP.oN』で三宅さんを押し倒す岡田さんと笑いどころもアリ。かと思えば第5楽章で『君が思い出す僕は 君を愛しているだろうか』をアカペラで聴かせる、平均歌唱力の高いV6ならではの演出。そこから始まる『Timeless』『Sky's The Limit』と最新曲を黒スーツで踊る姿は眩しく、『ROCK YOUR SOUL』のイントロから自然な流れで繋がれる『TAKE ME HIGHER』にテンションは超MAXである。
最終楽章である第6楽章はデビューして9ヶ月のV6が作文を読んでいる映像中の、三宅さんの「V6ってすごいじゃんと言われる大人になりたい」という言葉から歌いだす『出せない手紙』で始まる。モニターに映るデビューしてすぐの自分たちを見た後客席を振り向いて歌いだす演出がずるい。「V6ってすごいじゃん」は私が何度もこの20周年で聞いた言葉だ。自分でも何回言ったかわからない。あの時三宅さんが思い描いた景色は、20年後の今手にしているのだ。
このライブでは今までリリースしたシングルすべてが披露されている。シングルというには、「思い出の曲」になるものだと思っている。ハマった当初の最新リリース、ファンになって初めてリリースされたシングル、V6が気になったきっかけの曲。露出が多いシングル曲だからこそ思い入れはたくさんある。20周年を記念したライブ、好きになった時期もバラバラなファンが詰めかけているなかで「思い出の曲」が披露されるというのは嬉しいじゃないか。シングルは年表だ。その曲に当時の思い出が詰まっている。そんな曲たちを全部披露してくれたV6、それを可能にしてくれた39 Symphonyをつくったにしこりコンビ*4に足を向けて眠れない。
愛に満ちたライブ
他担にこのDVDをオススメするのは結局ここが大きなポイントになると思うが、今回は11/1をノーカットで収めているためMCもノーカット、つまりゲストが登場したMCもそのまま収録されている。この日観覧に来ていたジャニーズはTOKIO、嵐、生田斗真、Hay!Say!JUMP、戸塚祥太さん。この全員がMCでステージにあげられていたので、坂本さんが「これで特番何本できるんだろう」と言ってたぐらいに豪華だった。Mステスペシャルかな?と思った。しかしこの観覧に来た人たちはV6と密接なつながりがある。TOKIOはほぼ同期でジュニア時代からの付き合い、嵐と斗真さんはジュニア時代バックについていた「V6チルドレン」、JUMPは24時間TVで一緒にメインパーソナリティを務め、戸塚さんは井ノ原さんと「百識王」「モウソリスト」で共演しており、戸塚さんと井ノ原さんの対談が雑誌に載ったことも。こうして大事な日にグループ全員で見に来てくれたり、他の日にもたくさんの後輩が観覧に来てくれるのはV6の人柄ゆえ。彼らが20年築き上げた友情や信頼が、たくさんの後輩の観覧に繋がったのだろう。愛されている。
このライブの特徴は「おめでとう」「ありがとう」の多さである。客席からはたくさんの感謝とお祝いの言葉がかけられ、それに6人はたくさん「ありがとう」と言っていた。その他スタッフも井ノ原さんの「スタッフ楽しかったですか?」の問いかけにせーので「20周年おめでとう」と叫んでくれたり、リハでケーキを用意したり、ステージから降りた6人を長い長い垂れ幕を持って待っていたりと、スタッフもまたたくさんお祝いしてくれていた。そんなたくさんの「おめでとう」「ありがとう」が形になったのが、トリプルアンコールであった。
『 たどり着いて見えたものは love in the sky 』
このツアー中、ファンとスタッフからV6へのサプライズとしてリボンメッセージを募集していた。メンバーに秘密にするために、SNSなどへの投稿は一切の禁止。こうして集まった20万通ものリボンは、11/1にV6へリボンシャワーとして降り注いだ。
「もう一度だけ君のもとへ 愛をこめて行くから 胸いっぱに溢れる心意気を見せよう 力をこめて抱きしめたらもうずっと守り続ける 決して離しはしないもう二度と」と歌う『愛をこめて』のインスト共に空を舞うV6への「愛」。必死に空中のリボンを掴もうとしたり、立ちすくんで見上げたり、正座して一心にメッセージを読んだり。たくさんの愛に包まれたV6。
「まみれよっ」と長野さんがリボンの上に寝ころび、それに続けて6人全員がステージの上に寝ころぶ。井ノ原さんは「今日はここに泊まるぞー!」なんて言いだしたり。そんな中、三宅さんがおもむろに取り出したスマホで写真を撮ることになって、「それじゃ3人しか入ってない!」「お前あの長い棒みたいなの持って来いよ!」「もっかい!ブサイクな人がいたら後から困るじゃん!」「ごぉはやく入ってよー!」「首がいてぇんだよ!」と口々に言い合いながら円形に並んで写真を撮る。その6人の姿があまりにも美しかった。初めてその場面を見たのはテレビ誌のライブレポート。Twitterのレポでそんなことがあったのは知っていたが、ここまで綺麗な円形を描いているとは思わなかった。あまりにも綺麗で、愛に囲まれているV6が美しくて、うっかり泣きそうになった。だから私はここが映像化されるのを心待ちにしていた。彼らはどうやってあの美しい円形を描くに至ったのか。
結果はなんてことなくて、示し合わせたわけでもなく並んでいただけだった。自然と作り上げられた円形だった。私の心をうったあの円形の美しさこそが、20年共に同じグループとしてアイドルをしていたから、どんな苦難も逆境も乗り越えて、誰一人欠けずにここまでたどり着いた証だったのだ。
おめでとうと、ありがとうと、これからも
とにかくこのDVDをたくさんの人に見てほしい。それで好きになってもならなくても、とにかく見てほしい。20年V6が歩んだアイドルとしての道を目撃してほしい。そんな気持ちになった。
20年が奇跡と言うなら、30周年はなんと呼ぶのでしょうか。40周年はなんと呼べばいいんでしょうか。まだまだ僕たちは走り続けていきますので、ずっと僕たちを応援して支え続けてください。
坂本さんは、挨拶でこのように言った。グループ最年長でリーダーの彼がこう言った。20周年は決してゴールではない。6人は10年後、20年後を見据えている。きっと彼らならたどり着ける。そしてまたたくさんの愛に包まれるのだ。
私も、彼らを包む愛の一つになりたい。そう改めて思った。ありがとう。おめでとう。これからもよろしくお願いします。
世界中の花をもって 君に愛されに来たんだ
『ユメニアイニ』
*1:V6 live tour 2011 Sexy.Honey.Bunny!
*2:V6 live tour 2013 Oh! My! Goodness!
*3:V6 LIVE TOUR 2008 VIBES
*4:西寺郷太とcorin.。『Sexy.Honey.Bunny!』『kEEP.oN』『POSON PEACH』を制作。
渋谷すばるのマンピーは凄いぞ~カヴァーアルバム「歌」感想~
渋谷すばるソロカヴァーアルバム「歌」を聞きました。
- スローバラード
- マンピーのG★SPOT
- ファンキー・モンキー・ベイビー
- First Love
- 元気を出して
- 君がいないから
- 言葉にできない
- SWEET MEMORIES
- オモイダマ (「歌」ver.) (通常盤のみ収録)
楽しい。このアルバムは楽しい。イヤホンで音量を思いっきり上げて聞いた時の、渋谷すばるの歌声に包まれる充足感といったらたまらない。全ての楽曲が一発録りで収録され、おそらく極力加工を避けたのだろう、ありのままの収録した日の空気がそのまま閉じ込められているため、臨場感がある。すぐ目の前で演奏されているような心地。さすが、「ライブ」にこだわる渋谷すばるがソロ名義で初めて出したアルバムだ。
一曲目のスローバラードから込められた熱量に震える。この曲は去年の音楽番組coversとソロライブで披露されており、私としては一番聞き覚えのある楽曲であるが、音源になるとここまで変わるのかと驚く。確かにどの時もこの曲を熱く熱く歌っていた彼ではあったが、私はこの音源が一番熱を持っていると感じた。ライブ音源よりもだ。それは1年を通して渋谷すばるが更に進化したことの象徴のようであり、そんな曲を1発目に持ってくるのだ。悪い予感などかけらもない。特に最後の火炎放射のようなシャウト。彼の特徴である強いビブラートをこれでもかと効かせたこれで私は一曲目から燃やしつくされたのだ。
そして記事タイトルにもしたマンピーのG★SPOT。所謂エロ曲、それも官能的な美しさを表現したわけでもなくただただマンピーと叫ぶ曲であり、ジャニーズアイドルがカヴァーしていいのかという声も出そうだが、渋谷すばるのマンピーは一味違うぜ。オフマイクからメンバーみんなテンションが上がりきってることが察される中で始まるイントロと「マンピー!」の掛け声。よく演歌のようだと言われる彼の声がエロ曲によくマッチする。少しのねちっこさとそれを脇から共に寄り添い押し上げるコーラス隊の声。このアルバムにおいてコーラス隊の役割は大きく、彼らの声で一気に天上まで押し上げられたテンションで、サビは拳を挙げずには、手を叩かずにはいられない。大サビ前の絞り出すような「Gスポット」の声は至高。
そんなマンピーで押し上げられたテンションのまま突入するファンキー・モンキー・ベイビー。マンピーで頂点まで達したと思ったテンションにはその上があって、その上のところでずっと踊り狂わされるような、そんな曲。ブルースハープの音色も力強く響いて楽しい。大サビ前の「君は」でのバンドメンバーとの掛け合いでいい雰囲気なことがわかる。実際初回盤に付属しているDVDにはレコーディング風景が収録されており、バンドメンバーと渋谷が信頼しあう関係を築き上げていることがわかる。昨年のソロライブから引き継がれているメンバーもいれば、新しく渋谷すばる BANDとなった方も。みんながみんな音楽に対し真っ直ぐで、その真っ直ぐな熱をそのまま込められたのがこのアルバムなのである。
4曲目にくるFirst Loveで雰囲気ががらっと変わる。たぶんこのアルバムでは意図的に前半と後半で雰囲気を変えているのであろう、この曲が境目である。今までテンションが上がるとずっと言い続けていたので、「そんなの求めていない」という人もいるだろう。そんな人もここから続く楽曲を聞いてほしい。まずこのFirst Loveの出だしのハスキーな声に彼の表現の幅を知ることになる。1年間、関ジャムでたくさんのアーティストとセッションを重ねたことにより得た曲に対する理解度と表現力。彼の歌声には表情が見える。「明日の今頃にはわたしはきっと泣いている あなたを想ってるんだろう」と歌う彼の声が優しくもあり切なくもあり。男性の高音が好きな私は、この曲での少し喉にかすみがかかったような、ろうそくのようなゆらめきの中に芯の通った力強さが隠れている高音がたまらない。
元気を出して。彼に応援されると、何にも負けないような気分になるのは何故だろうか。女性の話言葉がよく似合う彼の歌声が私を包みこんでくれる。フィンガースナップが刻むリズムは私を励ましてくれる。そう思えるぐらい感情に寄り添うような優しい曲。きっと私がこの先辛いことがあったらこの曲を思い出すんだろうなと思う。彼の歌声に慰めてもらうんだと思う。
またハスキーな声から始まる君がいないからは、切なさを含んだ声という点ではFirst Loveと同じであるが、この2つの曲で歌い方は変えられている。歌詞の内容的にも「会えない君を今も想っている」ということでこの2つは似たものがあるが、First Loveは女性目線、君がいないからは男性目線であると私は解釈している。君がいないからでは声は切ないものではあるが、地にしっかり足がついていると感じる。ゆらゆらと「新しい歌 うたえるまで」あなたを想うFirst Loveに対し、「愛だけしかない それしかないのに君がいないから」と言い切るこの曲をしっかりと表しているのだと思う。
私がこのアルバムで前から知っていた曲はスローバラードと言葉にできないだけであった。スローバラードも彼がカヴァーしていたから知ったので、これが初めて原曲を知っている状態で聞く彼のカヴァー。ここまで歌い手が違うと受け取るものも違うのかと驚いた。今までこの曲に対してはCMの影響もあって切ないイメージを抱いていたが、彼の言葉にできないは力強かった。一音一音はっきりと発するサビ部分は彼を波源として空気を震わせているようすが見えるかのようだ。あまりにも自分が持っていたイメージと違ったため本家を聞いてみたら、なるほど確かに本家も力強く芯を持った歌声だった。このアルバムは、原曲を綺麗にくみ取り、それをそのまま表現するのではなく自分もきちんと表現にのせられている。だからこのアルバムはカヴァーアルバムであり、紛れもなく渋谷すばるのソロ初アルバムなのだ。
このアルバムにおいてきっと中心にいるのはSWEET MEMORIESなのだろう。Mステでも披露されたこの曲は、一緒に共演した異国のアーティストの方の心も動かした。Aメロは控えめな分サビで爆発される感情の波。最後のサビに向かっていく熱量に何度目かの火傷を感じる。そんな熱を持った声で歌われるのは「失った夢だけが美しく見えるのは何故かしら」ということば。彼も、失った夢を美しく思っているのだろうか。彼の失った夢とはなんなのか。そんな事を考えてしまうぐらいに、この歌詞を歌う彼が揺らめく火のような儚さと力強さを持っていて。私はなぜか思い当たる思い出もないのに、最後のサビでこの歌詞を聞くと泣きそうになってしまう、それぐらい感情を揺さぶる声なのだ。
「嘘つくのは 上手じゃない」彼が、嘘偽りなく音楽への愛をこめて作られたアルバムが「歌」なのである。
去年のソロデビューの時とようすが全く変わって見えるのは、今回は味園ユニバースという映画を背負っていない、ポチ男でも茂雄でもなく「渋谷すばる」の音楽だからだろう。バンドメンバーと笑いながら音楽をする彼が楽しそうで、そんな彼が詰まったアルバムが発売される時にファンでいて本当によかったと思う。
たくさんの人に聞いてほしい。この曲が青春だった人たちに。この曲を歌っている人のファンの人たちに。カウコンのコンビ投票で1位に輝いた彼を見ていた人たちに。渋谷すばるはこんなにも音楽を愛す歌い手だということを知ってほしい。そんなことを思った。
公式サイトで視聴ができます。気になった方はぜひ。