嫌い嫌いも好きのうち

君を見つけ出した時の感情がこの五臓六腑を動かしてんだ

V6 LIVE TOUR 2015 -SINCE 1995~FOREVER- 感想

 「V6 LIVE TOUR 2015 -SINCE 1995~FOREVER-(以下フォエバコン)」を見ました。

まさにV6の20周年、20年間の集大成だった。20年の歴史をディスク2枚にぎゅっと詰めたようなライブ。これからV6に興味を持った人には迷わずこのDVDをオススメしたい。

 

 

人気曲ばかりの贅沢な前半パート

今回のセトリにはファンの人気投票が反映されている。V6楽曲大賞1995-2015

を見ていただければわかるように、Air,Supernova,HONEY BEATなどファンから圧倒的な支持を持つ楽曲が前半に集められている。ここで推したいのは、ただ人気曲を集めただけではなく、新たな演出と共にがっつり披露してくれているところだ。

『Supernova』は11年セクバニコン*1と13年OMGコン*2で披露され、2パターンの振付が存在するのだが、今回のフォエバコンではそれをミックス。1番をOMGコン振付、ラスサビからセクバニコン振付となっており、さらに間奏部分ではレーザーライトを操る演出がプラス。これが3曲目にぶちこまれるんだからたまったもんじゃない。

人気曲というのはコンサートでの演出が大きな要素になっており、アルバム曲やカップリングが多い人気曲ではリリース年のコンサートで披露されたきり、翌年には簡略化されて披露という形が多く、好きなのにもう見れないという事態が起きる。しかしアニバーサリーの力は強い。あの人気曲を再び、しかも当時の演出を踏襲しながらも「今」のV6が魅せる新たな演出がプラスされている。つまり、好きな曲に2パターンの演出が存在することになるのだ。ありがたい。

 

 

DANCE!DANCE!DANCE!!

とにかく踊る!踊る!前半人気曲を固めたらずっと踊っていた。平均年齢当時約39歳が前半16曲中振りがあるものという基準でカウントすると13曲踊っている。後のインタビューで森田さんが「しゃがむのがきつい」と言っていたが、しゃがむのがキツくなっている人たちが踊る量なのかこれは。そしてこの量を立ち位置含め覚えていることがすごい。メイキングにて坂本さんが「曲が流れると振りと立ち位置が勝手に出てくる」とどうやら体で覚えているようだが、ダンス経験のまったくない私には想像もつかない領域である。V6のダンスの特徴は細かい振りと目まぐるしく変わるフォーメーションだと思っているので、これが堪能できてかなり楽しい。

 

 

圧巻の演出

V6のコンサートといえば光の演出が特徴的である。VIBES*3やOMGコンで使用された一部ファンから「エロパスタ」と呼ばれる発光するゴム(?)や、メンバーカラーのピンスポが淡く柔らかく照らすREADYコンのAir、V6 SUMMER SPECIAL DREAM LIVE 2003では日本照明家協会賞新人賞を受賞している。

そして今回もV6の照明チームは素晴らしかった。レポで「変態照明」という言葉が蔓延しており、入っていない私には何のことかわからなかったが、実際映像を見てなるほど変態照明だと、極めすぎたことに対する称賛としての変態だと理解した。

何よりも特徴はセンターステージの上に円形に並べられた鏡。この鏡の角度を変えて光を反射させることにより、自在な光の動きを魅せている。こんな具合に。

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私が特に綺麗だなと思ったのが『涙のアトが消える頃』の演出で、この曲が初めてこの鏡が効果的に使われた場面だったと思う。センステにぽつんと置かれた白い椅子と、それを囲む6人。誰も座っていない椅子に語り掛けるように森田さんが歌いだして始まるのだが、白い柱が伸びてきたと思ったら照明だった。な、何を言っているのかわk(ry。白い柱の正体は鏡に光を垂直に当てたことで反射光も真っ直ぐになるためにできた光の柱であった。体の半分を過ぎたころになってやっと光だと気付いた。光の柱でできた柵に囲まれた6人は、もう誰もいない椅子を見ながら、彼女に心が囚われているようすを表しているような、この曲の世界観に合わせた光だった。

もちろん凄いのは照明だけではない。個人的に感動したのはモニターの映像と6人の動きのリンク。『Air』で坂本さんが伸ばした手に、暗転して再び明るくなったときには赤い花束が握られているという演出があるのだが、この時の映像が「光が坂本さんの手の位置に降りてくる」「花束を持った6人が歩き出すタイミングで光が点から広がる」と、サプライズ演出を見事に支えている。

他にもカミセンの『キミノカケラ』では、白黒で始まった世界が、ラスサビ前で三宅さんが指を鳴らすと世界に色が灯る。この指をならすとき、伸ばした三宅さんの腕の位置を爆心地として周りに色を灯していくような映像になっている。おかげでさながら三宅さんが世界の創造主、色を灯す魔法使いのようである。美しい。

そんな洗練された演出がぎゅっと詰まっているのが前半ラストの『SP "Break The Wall』。レーザーが6人を貫くところから始まり、先ほど紹介した鏡はもちろん、会場内の全ての照明が使われているのではないかというぐらい降り注ぐ嵐のような光。SPのあのテーマが流れると共に緑のレーザー一色で染まる会場。細かい歌割りに対応してきっちりと中心に当ててくるピンスポ。そしてまた降り注ぐ嵐のような光。最後に手にもったレーザーでバックのツアーロゴを照らすところまで息もつかせぬ圧巻の演出である。

そしてその後MCタイムのためにステージが照らされるのだが、スタンドに設置されているモニターがステージまで光を運ぶような映像になっていたりと芸が細かい!w

 

 

怒涛の39曲メドレー "39 Symphony"

MC後、後半からはノンストップでシングル39曲を繋ぐ『39 Symphony』が展開される。10周年を思い起こさせる『Orange』に合わせて、英語詞が効果的に流れるイントロ。『Sexy,Honey,Bunny!』の冒頭での坂本さんの「Sexy!」を他メンバーが奪うセクシー泥棒芸に、『kEEP.oN』で三宅さんを押し倒す岡田さんと笑いどころもアリ。かと思えば第5楽章で『君が思い出す僕は 君を愛しているだろうか』をアカペラで聴かせる、平均歌唱力の高いV6ならではの演出。そこから始まる『Timeless』『Sky's The Limit』と最新曲を黒スーツで踊る姿は眩しく、『ROCK YOUR SOUL』のイントロから自然な流れで繋がれる『TAKE ME HIGHER』にテンションは超MAXである。

最終楽章である第6楽章はデビューして9ヶ月のV6が作文を読んでいる映像中の、三宅さんの「V6ってすごいじゃんと言われる大人になりたい」という言葉から歌いだす『出せない手紙』で始まる。モニターに映るデビューしてすぐの自分たちを見た後客席を振り向いて歌いだす演出がずるい。「V6ってすごいじゃん」は私が何度もこの20周年で聞いた言葉だ。自分でも何回言ったかわからない。あの時三宅さんが思い描いた景色は、20年後の今手にしているのだ。

このライブでは今までリリースしたシングルすべてが披露されている。シングルというには、「思い出の曲」になるものだと思っている。ハマった当初の最新リリース、ファンになって初めてリリースされたシングル、V6が気になったきっかけの曲。露出が多いシングル曲だからこそ思い入れはたくさんある。20周年を記念したライブ、好きになった時期もバラバラなファンが詰めかけているなかで「思い出の曲」が披露されるというのは嬉しいじゃないか。シングルは年表だ。その曲に当時の思い出が詰まっている。そんな曲たちを全部披露してくれたV6、それを可能にしてくれた39 Symphonyをつくったにしこりコンビ*4に足を向けて眠れない。

 

 

 愛に満ちたライブ

他担にこのDVDをオススメするのは結局ここが大きなポイントになると思うが、今回は11/1をノーカットで収めているためMCもノーカット、つまりゲストが登場したMCもそのまま収録されている。この日観覧に来ていたジャニーズはTOKIO生田斗真Hay!Say!JUMP戸塚祥太さん。この全員がMCでステージにあげられていたので、坂本さんが「これで特番何本できるんだろう」と言ってたぐらいに豪華だった。Mステスペシャルかな?と思った。しかしこの観覧に来た人たちはV6と密接なつながりがある。TOKIOはほぼ同期でジュニア時代からの付き合い、嵐と斗真さんはジュニア時代バックについていた「V6チルドレン」、JUMPは24時間TVで一緒にメインパーソナリティを務め、戸塚さんは井ノ原さんと「百識王」「モウソリスト」で共演しており、戸塚さんと井ノ原さんの対談が雑誌に載ったことも。こうして大事な日にグループ全員で見に来てくれたり、他の日にもたくさんの後輩が観覧に来てくれるのはV6の人柄ゆえ。彼らが20年築き上げた友情や信頼が、たくさんの後輩の観覧に繋がったのだろう。愛されている。

このライブの特徴は「おめでとう」「ありがとう」の多さである。客席からはたくさんの感謝とお祝いの言葉がかけられ、それに6人はたくさん「ありがとう」と言っていた。その他スタッフも井ノ原さんの「スタッフ楽しかったですか?」の問いかけにせーので「20周年おめでとう」と叫んでくれたり、リハでケーキを用意したり、ステージから降りた6人を長い長い垂れ幕を持って待っていたりと、スタッフもまたたくさんお祝いしてくれていた。そんなたくさんの「おめでとう」「ありがとう」が形になったのが、トリプルアンコールであった。

 

 

『 たどり着いて見えたものは love in the sky 』

このツアー中、ファンとスタッフからV6へのサプライズとしてリボンメッセージを募集していた。メンバーに秘密にするために、SNSなどへの投稿は一切の禁止。こうして集まった20万通ものリボンは、11/1にV6へリボンシャワーとして降り注いだ。

「もう一度だけ君のもとへ 愛をこめて行くから 胸いっぱに溢れる心意気を見せよう 力をこめて抱きしめたらもうずっと守り続ける 決して離しはしないもう二度と」と歌う『愛をこめて』のインスト共に空を舞うV6への「愛」。必死に空中のリボンを掴もうとしたり、立ちすくんで見上げたり、正座して一心にメッセージを読んだり。たくさんの愛に包まれたV6。

「まみれよっ」と長野さんがリボンの上に寝ころび、それに続けて6人全員がステージの上に寝ころぶ。井ノ原さんは「今日はここに泊まるぞー!」なんて言いだしたり。そんな中、三宅さんがおもむろに取り出したスマホで写真を撮ることになって、「それじゃ3人しか入ってない!」「お前あの長い棒みたいなの持って来いよ!」「もっかい!ブサイクな人がいたら後から困るじゃん!」「ごぉはやく入ってよー!」「首がいてぇんだよ!」と口々に言い合いながら円形に並んで写真を撮る。その6人の姿があまりにも美しかった。初めてその場面を見たのはテレビ誌のライブレポート。Twitterのレポでそんなことがあったのは知っていたが、ここまで綺麗な円形を描いているとは思わなかった。あまりにも綺麗で、愛に囲まれているV6が美しくて、うっかり泣きそうになった。だから私はここが映像化されるのを心待ちにしていた。彼らはどうやってあの美しい円形を描くに至ったのか。

結果はなんてことなくて、示し合わせたわけでもなく並んでいただけだった。自然と作り上げられた円形だった。私の心をうったあの円形の美しさこそが、20年共に同じグループとしてアイドルをしていたから、どんな苦難も逆境も乗り越えて、誰一人欠けずにここまでたどり着いた証だったのだ。

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おめでとうと、ありがとうと、これからも

とにかくこのDVDをたくさんの人に見てほしい。それで好きになってもならなくても、とにかく見てほしい。20年V6が歩んだアイドルとしての道を目撃してほしい。そんな気持ちになった。

20年が奇跡と言うなら、30周年はなんと呼ぶのでしょうか。40周年はなんと呼べばいいんでしょうか。まだまだ僕たちは走り続けていきますので、ずっと僕たちを応援して支え続けてください。

坂本さんは、挨拶でこのように言った。グループ最年長でリーダーの彼がこう言った。20周年は決してゴールではない。6人は10年後、20年後を見据えている。きっと彼らならたどり着ける。そしてまたたくさんの愛に包まれるのだ。

私も、彼らを包む愛の一つになりたい。そう改めて思った。ありがとう。おめでとう。これからもよろしくお願いします。

 

 

 

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世界中の花をもって 君に愛されに来たんだ

『ユメニアイニ』

 

 

*1:V6 live tour 2011 Sexy.Honey.Bunny!

*2:V6 live tour 2013 Oh! My! Goodness!

*3:V6 LIVE TOUR 2008 VIBES

*4:西寺郷太とcorin.。『Sexy.Honey.Bunny!』『kEEP.oN』『POSON PEACH』を制作。