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君を見つけ出した時の感情がこの五臓六腑を動かしてんだ

「音楽と人」8月号感想

音楽と人を買った。

音楽と人 2015年 08 月号 [雑誌]

音楽と人 2015年 08 月号 [雑誌]

 

 基本的にインタビュー雑誌は立ち読みで済ませてしまうのでなかなか購入しないが、この号にはUNISON SQUARE GARDEN特集とSPYAIRのIKEの単独インタビューがあるということ、近くに本屋がなく立ち読みに行く時間も確保できないため、友人に購入を委託した。

この「音楽と人」という雑誌を買うのは2回目で、1回目は渋谷すばるソロデビューに際した特集だった。渋谷すばるを好きになりたての頃に立ち読みして、これから渋谷すばるという人物を知っていき応援していくにいたって忘れてはいけない記事だと思い、手にとったそのままレジに持っていった。

そんな経験があったからこそ、この「音楽と人」という雑誌に対する信頼が高く、それも購入を決める一手となった。書き手にもよるのだろうが、この雑誌のインタビュー文はその本人の声で脳内で再生される。話している様子が想像しやすく、それほどありのまま書いてくれているのがわかる。質問も絶妙なところを突いてくるのがまた良い。信用と信頼の雑誌、音楽と人である。

 

 

さて、前置きが長くなったが本題の感想に入ろう。

まずはUNISON SQUARE GARDEN。それぞれのソロインタビューに盟友バンドのインタビュー、アルバムレビューとボリュームたっぷり。ここ最近の雑誌ラッシュでは一番内容も写真もしっかりしていると思う。

実は私はUNISON SQUARE GARDEN本人たちについては他と比べてあまり熱量を持って調べてはいない、そして本人たちの過去を語るようなファンもあまりいないため、私が本腰入れて好きになった2014年以前のことはよくわからない。なので「JET.CO」前後のイザコザがあったことを私はこの記事で初めて知ったのだ。「オリオンをなぞる」リリースに至るまでに葛藤があったことは知っていたが。

なのでギター&ヴォーカルの斎藤宏介氏がベースでありほとんどの楽曲の作詞作曲を手掛けている田淵智也氏に対してライバル心があったことは初めて知った。UNISON SQUARE GARDENはフロントマンが作詞作曲をしない稀有なバンドである。そのスタンスに対する売れていない頃の周りからの不信感、それにより求められるフロントマンとしての魅力に葛藤しメンバーですら敵に思えてた、という話は興味深かった。フロントマンに対する重圧というものは大きい。あのアクの強いベースとドラムを諌めて前にたてるのは斎藤宏介しかいないだろうということは断言できる。彼が即決でプロになる道ではなくこのバンドでプロになる道を選んでくれてよかったと心の底から思う。

田淵智也氏は相変わらずという印象(笑)。彼はぶれない。ずっと自分の中で音楽論を築き、それを発信する。この発信するという行為も相当なエネルギーを使うはずだし、それによって縛られるものもあるはずだ。それなのにこうして発信し続けることで実際にその理想が叶ってきているというところが田淵智也たるところだ。この「ぶれない」というのは「音楽論」に対してではなく、「音楽論を築き発信する」というところだ。音楽論は今までに何度かぶれていることは知ってるしこのインタビュー記事にも書かれている。ただそのぶれていることを、「前はこう言っていたけど今はこう思ってるから意見を変えました」というのを発信する正直さに、私は惹かれている。

鈴木貴雄は実は一番この中で音楽に対してアツイのではないかと思っている。自分のことを「音楽しかない」と言うぐらいだ。「音楽で生きていくんだ」ではなく「音楽やってないと生きていけない」と言うほどの学生時代の彼の闇は何なのだろう…。

「3人とも血まみれになった」おそらくJET.COの頃を経て、「無敵だな」と思えるほどいい関係を築けていったからこそ、昨今の彼らの活躍ぶりに繋がっているのだろう。個性の強い3人がそれぞれ互いを尊重しあい、それぞれの仕事に信頼を置いているからこそ、うまく自分をだしつつ共同体になれているものがUNISON SQUARE GARDENというバンドなのだろう。ソロインタビュー後のページの写真のなごやかな笑顔が、それを感じさせた。

DUGOUT ACCIDENT(通常盤B)

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あくまでメンバーを「仕事仲間」として捉えバンドをしているUNISON SQUARE GARDENに対し、メンバーに「友達」に戻ってほしいと願ったのがSPYAIRのヴォーカル・IKEである。

ROCKIN' OUTツアーファイナル東京のMCでIKEは「友達がいなくなった」と発言した。この「友達」がメンバーのことを指していることをこのインタビュー記事で公言した。

IKEはベースのMOMIKENとは小学生、ドラムのKENTAとは中学生の頃からの付き合いで高校の時に一緒にバンドを組んでいた。その時のバンドでよく対バンしていたのがギターのUZのバンドであり、お互いのバンドが解散したことをきっかけにその4人でSPYAIRを結成したのだ。つまり、彼らは学生時代からの付き合いであり、友達であった期間が圧倒的に長いはずなのだ。

それが友達でなくなったこと。「お前らなんか友達じゃない」と言ってしまったこと。周りに信頼できる、安心できる人がいなくなったIKEのことを考えると胸が苦しい。1ファンである私がIKEの苦悩に気づくことなんてできなかっただろう。気付いたところで何もできなかっただろう。それでも、それでも私は気づきたかったと、ネット上で会話できるツールがあったあの頃なら何か声をかけることができたのではなかと思うのだ。

まぁそんなのは結局ファンにはどうしようもなく、本人たちで解決させることができたのだ。友達に戻った。ご飯に行くようになった。心の底から信頼できるようになった。どうしようもなくそれが嬉しい。こうして暗黒期間を経て、表舞台に戻ってきたSPYAIRに、IKEに最大級の感謝を送りたい。この記事を読んだ後モバイル会員サイトにアップされていたIKE手術時のケンタ、モミケン、ユージからの手紙を見るとグッとくる。

私は死にたいなんて思ってないので、SPYAIRのおかげで生きているなんて思ってない。ただこのバンドがないと困る。つまらないと思う。それはこのバンドが存在していることに救われているということなのかもしれない。だからSPYAIRを続けてほしいし、続けるように行動していってほしい。

それにしてもIKEが何回も力強い言葉でもう大丈夫というので信頼したいのだけど、どうしても本心は?と探ってしまうようになってしまった(笑)。音を楽しめているのは事実だと思うので、私もあなたたちの音で楽しませてください。

 

あの時、逃げ隠れしようとしたけど、どこにも逃げる場所がなくて。今後10年経っても、<元SPYAIRのヴォーカルの人ですよね>って言葉が必ず出るなと。それなら、もう逃げてもしょうがないから、SPYAIRともう一度向き合ったほうが自分の人生にプラスだと思って 

 帰ってきたきっかけが体裁を気にしてってところに笑ってしまった(笑)。すべてが美談ではなく、こういう人間臭い事情もあって、それを隠しきれていないところが最高にSPYAIR愛おしい。

そして元SPYAIRの、って言葉に脱退したDJ、ENZEL☆を思い出す。彼も元SPYAIRの看板をずっと背負っているのだろう。騒動の時にお見舞いに行って様子を報告してくれていたので、そこらへんの話をしたのだろう。ゼルさん、ありがとう。

このIKEの記事で、今はいい状態でSPYAIRができていることがわかった。野外、絶対に成功させてほしい。

ファイアスターター(初回生産限定盤)(DVD付)

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長々と書いたがこれで感想終了である。購入してよかった。音楽と人は最高の雑誌だ!!